ホームボーイ  
2010.07.22.Thu / 22:31 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






人生の終着点に、人は何を求めるのか?
富や金、栄光、夢、大切な人からの愛情、そして安らぎ。
ボクシングしか知らなかった孤独な男が、
心から大切にしたい人を見つけ、
その人の所に帰るために、死を覚悟で強敵に戦いを挑む。
もっと他の生き方もあったのかもしれない。
しかし、男には、そんな生き方しか出来なかったのだろう。
不器用にも懸命に生きた男が最後にたどり着いた終着点。
そのラストシーンの美しさ。
男が求めた終着点を描いた映画。


ジョニー・ウォーカーは、カウボーイの姿をした流れ者のボクサー。
無口で人生を諦めているような雰囲気ではあるものの、
ボクシングを、そして、試合に勝つことを強く欲している男だ。

そんなジョニーに友人ができる。
地元のクラブで働く、歌手のウェズリー。
しかし、実は刑事にも目を付けられるほどの悪党だ。

そしてジョニーがめぐり合う運命の女性、ルビー。
ルビーのことを語るジョニーの表情、それを聞くウェズリー。
このシーンが、とても優しく感じられる。
運命の人を見つけることができた喜び。
その心情を彼独特の台詞で幸せそうに語るジョニー。
それを彼なりの方法で祝福する友、ウェズリー。
二人の友情、そして人柄がにじみ出ているシーン。
それは、とても至福の情景。
しかし、運命は残酷だ。

時々、耳や目が変調をきたしていたジョニー。
それは、頭蓋骨にヒビが入っていたから。
これ以上、頭にパンチを受ければ死んでしまう。


多分ジョニーにボクサーを辞めさせたかったのだろう。
一攫千金の犯罪に、ジョニーを誘うウェズリー。
そして、それはウェズリー自身の将来の夢を叶えるための強盗でもあったのだろう。
宝石商を襲う計画を立てるウェズリー。

遊園地の経営で困っているルビーに大金をプレゼントしたい。
多大な懸賞金が得られる強敵との試合を決めたジョニー。
敏腕のトレーナーとも出会うことも出来た。
しかし、頭蓋骨のヒビのことを告げられるジョニー。


友情を信じて強盗に加担する選択もあっただろう。
愛を取り、死の危険が高い試合をキャンセルするという生き方もあったはずだ。
しかし、ボクシングを取ったジョニー。
「もう少し早くあんたに出会えていたら、
 俺はもっと、ましなボクサーになっていただろう?」
そう敏腕トレーナーに問いかけるジョニーが痛々しい。
彼は心からボクシングを愛していたのだろう。
だから、これを最後の試合と決め、悔いなく燃え尽きたいと思ったのだろう。

悪党だが、ジョニーにとっては、いい奴だったように感じたウェズリー。
彼が選んだ人生の終着駅は、富。
それ故に彼は最後には身を滅ぼしてしまう。
もしかしたら、ルビーのような存在に出会えていたのならば、
違った結末が待っていたのかもしれない。

試合には善戦したが、最後には倒されてしまうジョニー。
けれど、その顔はとても満足そうだ。
やるだけのことはやった、やり尽くした。
運や出会い、才能の違いで届かなかった高みに、
しかし、可能な限り近づけた、そんな満足感。
そんな彼を支えたのは、帰る場所があるという事実。
今までの試合では、そんな場所を彼は持たなかった。
だから勝ち負けにこだわり、試合に真面目に向き合うことも出来ず、
満足な試合をすることが出来なかったのだろう。
しかし、彼は土壇場で間に合ったのだ。

ラストシーンの美しさ。
あれは現実世界なのか、それとも死に逝く男の最後の夢なのか?
けれど、死力を尽くして戦い抜いた先に、
心から安心して帰れる場所、帰りたいと心から願える場所があることは、
とても幸せなことなのだろう。


人生の終着点に、人は何を求めるのか?
似たような男が、最後にたどり着いた終着点の違い。
その違いがとても切なくは感じるものの、
ジョニーがたどり着いた人生の終着駅はとても美しい。
そんな男たちが求めた人生の終着点を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.808 / タイトル は行 /  comments(2)  /  trackbacks(0) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from zebra -

先日、「レスラー」にコメントしましたzebraです。

 見ていて 「レスラー」のランディ とは 違った不器用さでしたよ。愛する女性のために 彼女の経営する遊園地が経営不振を 打破しようと ファイトマネーが高額の試合をするジョニー・・・

 頭蓋骨にヒビがあり 試合はムリなのに 危険を承知で試合に挑むのですから  男です ジョニーはv-218

 >もしかしたら、ルビーのような存在に出会えていたのならば、
違った結末が待っていたのかもしれない。

 そこなんですよ。ウォーケン演じる ウェズリーも不器用だったv-293 もし、ちがう形で ジョニーと知り合っていたら 強盗に 手を染めることは なかったv-293 ボクは そう 思えて・・・

 ジョニーもウェズリーも 悲しいまでに不器用でした  

2011.10.14.Fri / 00:08 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

zebra さん、おはようございます。

ミッキー・ロークは、不器用だけど、
ほおって置けないような役を演じさせるととても上手ですね。
危険を承知で無理な生き方をする、そんな生き方しかできない。
レスラー同様に体の痛みを押して生き方を貫きますが、
こちらの方は戻れる場所があって、
そのラストシーンの美しさには心をうたれました。

ウォーケンは、悪役の様でいて、実は心根にはジョニーと同じものを
持っていたんですね。二人の友情も、見ていて美しいものを感じました。

同じ不器用でも、ラストに訪れる大きな違い。
運命のいたずらと呼ぶには、ちょっと酷な気がしました。

それじゃ、また。

2011.10.15.Sat / 16:33 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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