台風クラブ  
2010.07.29.Thu / 20:57 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




台風、こないかなぁ


中学生が、漠然と抱えている、苛立ち。
将来がよくわからないことに対する不安。
自身が理解されないことへの不満。
それは、大人たちから見れば取るに足りない事であり、
そして、大人たちには理解できない事なのだろう。
しかし本人たちには、とても大きなもの。
そして、とても危うくて脆いもの。
日常のタガが外れた時、ついに爆破する、鬱積した想い。
けれど、その爆発もやはり中学生レベルの大きさでしかない。
大きい様でいて、小さい様にも見えて、けれど、大きな苛立ち。
中学生の鬱積した想いを描いた映画。



毎日が同じことの繰り返し。
けれど、時は確実に流れていて、自分たちは大人になる。
毎日、同じことが繰り返され、しかし、卒業を迎えて、
このまま楽しい事も何もなく、
枠にはめられて、平凡な大人になるのだろうか?

程度の差はあれど、中学生が抱えている不安。
しかし、隣の席に座っている友達も、
同じ不安を抱えているとは想像すら、出来ないでいる。
ちょっと羽目を外して人生のレールから脱線したい。
何か日常を壊すようなことが、起こらないだろうか。
皆が、そんな事が起こるきっかけを待ちわびている。
それは、夜のプールであったり、
何もかもを止めてしまう台風であったり。


台風によって学校に閉じ込められた生徒たち。
それは、同じことが繰り返される日常が非日常となった瞬間。
絶好の機会に羽目を外す彼ら、6人。

美智子さんと仲良くなりたかった健。
そして、自分が過って付けてしまった傷がどうなってしまったのか、
確認したかったのだろう。
健にとっては、取り返しのつかないトラウマなのだから。

本当にこれでいいのか?
はしゃぐ生徒たちを前に一人冷静な三上君。
けれど、彼も最後には羽目をはずしてしまう。
「僕は絶対にあなたにはならない!」と宣言してみても、
しかし、自分は、15年後は、梅宮先生のようにしか、
ならないんじゃないかと不安に思う。
そんな不安を皆に理解してもらいたかったのだろう。
死は生きることの前提。人は、いつかは死ぬ。
死の恐怖、生が終わってしまうことに対する恐怖。
そんな脅迫的な恐怖があるからこそ、今を有益に生きたいと考える。
だから、羽目を外さない。けれど、外してしまう自分がいる。
皆に立ち直ってもらうには、自分の死を見せるしかない。
けれど、本当は、皆に自分が感じている
不安と切迫感を理解して欲しかったのだろう。


理恵さんは、昔は三上君と一緒にいるのが楽しかったのだろう。
けれど、今の三上君は理恵さんには無関心な様子。
友達との関係の方を尊重するし、
理恵さんにはとても冷たく、なにかと注意してくる。
三上君は多分、理恵さんに強くなることを望んだのだろう。そして、
自分が感じている不安と切迫感を理解して欲しかったのだろう。
けれど、三上君が考えている以上に、理恵さんも不安を抱えている。
だから三上君は理恵さんが家出をする理由が分からない。
でも、理恵さんも将来が不安なのだ。

確かに子供から見た大人は、平凡で小さくて時に醜く感じられる。
あんなにはなりたくは無いが、しかし、
それ以外に自分の将来はなさそうに感じられる。
しかし、実は大人には子供には分からない事情がある。
女を泣かしたと思っていた梅宮先生。
けれど、梅宮先生は女の人をかばう為に、
自分で泥を被ったのだ。
生徒たちには、そんなことは思いもよらないが、
大人には大人の事情があり、本当は簡単には
あなたのような大人と、さげすむことはできないのだ。


ちょっと冒険をして見て、それでなんだか満足。
日常に戻っていく、理恵さん。そして校舎に閉じ込められた6人。
大きい様でいて、小さい様にも見えて、けれど、大きい苛立ち。
中学生の鬱積した想いを描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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