借りぐらしのアリエッティ  
2010.08.12.Thu / 09:33 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






必要最低限を借りて暮らしている種族。
ある物を最大限の工夫で生かしながら暮らしている小人たち。
そんな生活ぶりの描写の細かさ、美しさ。
そんな生き方が魅力的に写る映画。

初めての借り、そして引越し。
そして、初めての大手術。
けれど二人でならば乗り越えられる。
そんな輝きが美しい映画。



必要最低限を借りて暮らしている小人の家族。
そこの娘である、アリエッティ。

生活に必要な物を借りているとは言え、返さない彼ら。
お手伝いさんのハルさんが、泥棒小人、と呼んでいるが、
一見すると、それが正しいようにも思えてしまう。
けれど、本当にそうなのか?
小人たちが「借り」をしているのは、直接的には人間に対してだ。
しかし、それは巡り巡っては大自然の恩恵から、もたらされた物。
それを借りたといって、大切に上手に使っている小人たち。

私たちが所有していると思っているものは、私たちがお金を払って買ってきた物。
だから、それらは自分たちのものではある。
けれど、それらは誰か別な人が自然から刈り取ってきた物。
その労働に対して代金を払っているに過ぎない。
恩恵をもたらしてくれた自然には、何も帰してはいないのだ。
人間の創ったルールでは、たしかに所有者は人間。
けれど、やはり自然から借りっぱなしであることには変わらない。
そして、私たちは果たして、借りた物を大切に上手に使っているのだろうか?

みごとな小人たちの生活描画。
その細かさと美しさには目を奪われる。
さまざまな工夫で生きている彼ら。
そんな生活がとても魅力的に見える。


最初の「借り」に望むアリエッティ。
その緊張感、しかし、躍動感。
初めて見る人の部屋の巨大さ。
初めて見るドールハウスの美しさ。
様々な通路を通り、目的を達しようとするアリエッティ。
しかし、人間に見つかってしまう。

小人が暮らす家に病気療養にやってきた翔。
心臓に病気を持ち、大きな手術を控えている少年だ。
そして、その手術に悲観的な想いをも抱いている。

「君たちは滅びゆく種族なんだ。」
これはとても唐突な台詞のようにも感じたが、
自分の死期を、手術の前から決めていた翔には、
滅びという言葉に自分の境遇を重ね合わせて見ていたのだろう。

しかし、その言葉を受け入れないアリエッティ。
その言葉は真実かもしれない、しかし、生き抜くことは大切なこと。
今も自分は、大きな失敗を犯し、その失敗を償うこともできずに、
家族を危険にさらしてしまった。
けれど、どんなに大きな障害や絶望が待っていても、
生き抜くことは大切なこと。
そんなことを理屈以上の説得力で納得した翔。
アリエッティの生きる姿勢が彼の目を覚ましたのだろう。

最後には別れてしまう二人。
けれど、二人は、知っている。
困難に対しても生き抜こうとしているのは、自分だけではないことを。
そんな事実が自分に力を与えてくれる。
初めてのことでもやり抜く勇気を与えてくれる。
そんな輝きが美しい映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.814 / タイトル か行 /  comments(0)  /  trackbacks(0) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY

  非公開コメント
TRACKBACK TO THIS ENTRY

ご注意

ブログ内検索

全ての記事を表示する

プロフィール

ヤン

銀河英雄伝説名言録



present by 田中芳樹:徳間書店「銀河英雄伝説」

フリーエリア

FC2カウンター

フリーエリア

ブロとも申請フォーム

フリーエリア

CopyRight 2006 Heaven of the Cinema All rights reserved.