二十四の瞳  
2010.08.19.Thu / 20:54 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




何もしてあげられないけど
一緒に泣いてあげる


あの、可愛い瞳を、どうしても汚してはいけない。
そう思っていても、時代の荒波に揉まれてゆく生徒たち。
それを黙って見守るしかない先生。
何もしてあげられない、何かをすることもできない。
自分を偽って教壇に立たなければならない、自らの無力さ。
死ぬと分かっていても送り出さなければならい、無念さ。
ただ受け入れて、一緒に泣いてあげるしかできなかった。
個人の力の限界、そんな無力さを呪った映画。
そして、戦争というものの悲劇を描いた映画。
そんな時代でもたくましく生き抜こうとした人々を描いた映画。



新任で岬の分校に赴任した大石先生。
洋服や自転車が邪魔をして地元の人とは打ち解けることができないが、
担当している子供たちを人一倍愛している女性教師だ。

初めての授業で見た、子供たちのつぶらな瞳。
この瞳を決して汚してはいけない。
そう、心に誓った大石先生。
しかし、現実はとても厳しい。

時代は急速に不景気へ、戦争へと流れていく。
貧困のために進学はおろか、小学校にも通えない生徒。
死ぬと判っていても戦争に行かなければならない生徒。
直るはずの病も、貧しさのために治せず、死んでゆく生徒。

そんな生徒たちを目の前にしても、何もできない大石先生。
思ったことを正直に喋っただけで、アカと疑われる時代。
ただ見守り、一緒に泣くしかなかったのだろう。

最初は無邪気なだけだった生徒たちが、
次第に個性を持ち、一人の人間として、
映画で重要な役割を持つようになる。
このあたりの演出がすばらしいと感じる。

そして、戦争の恐ろしさ。
そんな恐ろしさが、こんな僻地の島にも押し寄せてくる。
そんな時代背景の描き方も見事。

あるがままを受け入れ、ただ一緒に泣いた大石先生。
一見すると、とても受動的でネガティブなのかもしれない。
けれど、大石先生のような、寄り添うように見守ってくれている存在が、
生徒たちの生きる希望になっていたのだろう。
そして、大石先生の涙は、単に悲しみの涙と言うわけではなく、
後悔や無念さが込められた涙だったように私には感じられる。

戦争が終わり、再び教壇に立つことになった大石先生。
自分を偽らなくても良い平和な時代が来たからなのだろう。

個人の力の限界、そんな無力さを呪った映画。
そして、戦争というものの悲劇を描いた映画。
そんな時代でもたくましく生き抜こうとした人々を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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