吉祥天女  
2010.09.16.Thu / 21:20 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






理不尽にも振るわれる、男からの暴力。
それは、男が女性に対して無知で無理解だから。
そして、身勝手にも自分の欲望を満たすことしか考えていないから。
その美貌故に男たちからの好奇の目にさらされてきた女性。
すべてに腹を立て、全てに復讐を目論む。
彼女の支えになった存在。
はみ出し者ゆえにマイノリティーの痛みがわかる男。
自分が守った結果、痛みを知らずに普通に育った少女。
彼女の深い怒りと悲しみ、そして、彼女が守りたかったものを描いた映画。



小夜子は、自身の美貌のために、
男たちからの好奇の目にさらされて来た女性。
そして、歪んだ欲望の対象になってしまった女性。
だからなのだろう。小夜子は強い。
精神的にも肉体的にも。
そうならなければ、自分を守れなかったのだろう。
しかし、男たちに抗うような生き方は、
この世界では、マイノリティに入ってしまうのだろう。
妹のために、居たくもない家に居候している涼。
彼は、小夜子に似ている。
はみ出し者というだけではなく、
周りは敵ばかりであり、その敵から自身を守るため、
精神的に強くならなければならなかった。
強さの方向は違うのかもしれない。
けれど、強さの質は同じなのだろう。

小夜子に憧れる同級生の由似子。
もし、小夜子があのような行動に出なければ、
きっと、由似子が次の餌食になっていただろう。

本当は、小夜子も、あのような行動を起こしたいとは、
思っていなかった。けれど、行動するしかなかった。自身を守るため。
もし、仮に、あのような事件が起こらず、
あのような行動を起こす必要がなかったのならば、
きっと、小夜子も由似子のように育っただろう。
だから、小夜子は、逆に、由似子に憧れる、普通に対して憧れる。
自身が失ってしまった物であるが故に。

小夜子が起こした復讐とは、彼女の怒りであろうし、
小夜子が憧れる普通の存在とは、彼女の悲しみなのだろう。

最後に街を去る、小夜子。
そして「由似子と会えて良かった」
自身の行為が自分だけを救う行為ではなく、
由似子、ひいては、弱い存在である女性たちをも
救っていた事を知ったからであろう。



近寄り難い美貌の女子高校生役であるならば、
もっと適役な女優さんがいたのかもしれない。
けれど、深い怒りと悲しみを表現するのには、
鈴木杏さんほど、上手な役者でなければ、
難しかったのかもしれない。

彼女の深い怒りと悲しみ、そして、
彼女が守りたかったものを描いた映画。


* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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