幕末太陽傳  
2010.09.30.Thu / 12:18 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






テンポがよいストーリー。
様々な登場人物のエピソードが、
最後に収束していく様は見事。
白黒なのに、とても艶っぽく写る女優陣。
フランキー堺さんの滑稽だが見事な立ち振る舞い。
そして奇妙にも見えるラストと主人公。
積極的逃避精神を描いたというよりは、
私には、自由への渇望を描いた映画。



常識に捕らわれない発想。
どんなに些細な事でも金儲けに繋げる才覚。
どんな細かなことでも見逃がさない嗅覚。
溢れる知識と教養、そして才能。
先々の展開までをも見通す頭の冴え。
何でも自分の有利にしてしまう知恵。
隙の無い立ち振る舞い。
どんなに歩が悪くても悪びれない度胸。
佐平次は、正にスーパーマンのような男。
湯治の為に、選んだ品川の宿。
最初は自らの居心地の良さを作るために発揮された、佐平次の知恵。
しかし、物語が進むにつれ、周りの人の為に動く、佐平次。
それは、皆が佐平次の人柄を知り、彼に頼るようになるからだ。

様々な登場人物が抱える、様々な事情。
それらを見事に裁く、佐平次。
そのつながり方は見ていて、とても小気味いい。

ならば、最後に佐平次は、どんなことを、しでかしてくれるのか?
思えば、佐平次は、それまでは様々な登場人物たちの
サポート役に徹していて、主人公であるにもかかわらず、
主体的に何かをした、という場面はなにもない。
あるのは、品川に湯治に来た、というだけである。

全ての謀が片付き、
「今度はオイラの番。」とつぶやく佐平次。
しかし、有り余る才覚を持つ彼がしたのは品川からの逃避。
この展開には、いささか面食らう。

思えば、借金をしていた時の佐平次は、
逆に、とても生き生きとしていた。
何故なら、彼の能力を自分の為だけに使えたから。
しかし、彼の人柄が知れるにつれ、
多くの人が彼に頼り、問題の解決を相談しに来る。
それを佐平次は断れない。
結果として彼は自由を失ってしまう羽目になる。
借金を返済したにも関わらず、、、、
逃避行直前の彼は、皆に良いように使われ、
本当に自由を失っていたように感じられる。
正に、器用貧乏とは佐平次をさす言葉のように感じられる。

佐平次が、高杉晋作のように行動できない理由は、
自らの病にもあるのだろう。
体力もなく、悪い咳をしている佐平次。
その咳は、映画の後半では、とても悪く見える。
だからこそ、佐平次は、
自分が主人公になるような人生を送れないのではないのだろうか?


映画のラスト。
品川から逃げ出す、佐平次。
それはきっと、自分を頼り拘束しようとする人々から。
それはきっと、自分の自由を奪う死の影から。
果たして、逃げ出した先には、自由が待っているのだろうか。

自由への渇望を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.825 / タイトル は行 /  comments(0)  /  trackbacks(0) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY

  非公開コメント
TRACKBACK TO THIS ENTRY

ご注意

ブログ内検索

全ての記事を表示する

プロフィール

ヤン

銀河英雄伝説名言録



present by 田中芳樹:徳間書店「銀河英雄伝説」

フリーエリア

FC2カウンター

フリーエリア

ブロとも申請フォーム

フリーエリア

CopyRight 2006 Heaven of the Cinema All rights reserved.