流れる  
2011.03.31.Thu / 21:51 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






昔ながらの矜持を持って今を生きる女性たち。
けれどそんな生き方が難しくなってきた時代。
正直者が損をして、
金に汚く駆け引き上手な、したたか者が富める世の中。
彼女たちの生き方は果たして時代遅れなのか。
妥協をして生き方を曲げなければ生きてはいけないのか。
そして、彼女たちの将来はどうなるのか?
けれど、彼女たちは、たくましくも、
この世界を生き抜いていくように私には感じられるし、
そうであって欲しいと願わずにはいられない。
それは、どんな酷くて汚い裏切りに遇おうとも。

彼女たちの儚さが印象的な映画。


豪華な女優人の競演が魅力的な映画。
話は淡々と進んでは行くものの、
彼女たちの魅力によって、飽きさせない映画。




経済的に苦しい芸者置屋、つたの家。
男に騙されて借金を負ってしまった女将の、つた奴。

きっと男に騙されたことなど、微塵も後悔はしていないだろう。
それが、彼女の生き方だからだ。
だから、金策の為とはいえ、
気に入らない男には頭を下げず、
昔の”いい人”に助けてもらいたかったのだろう。
けれど、そんな生き方が
通じなくなっている時代になってしまったのだろう。

そんな不器用な母親を心配する勝代。
しかし、彼女自身も、とても不器用な女性だ。
母親の跡を継げば、楽に儲けられたかもしれない。
しかし、そんな道には進まず、地味ながらも、
堅気の職業で自立しようとしている。


そんな事情を全て知っているわけではないだろうが、
この家の事情を裏から見てきた、女中のお春さん。
働き者で、とても気が利く女性。
注射を怖がる小さな娘を上手にあやすシーンがとても印象的。


つた奴の金策は、あてが外れ、
昔のいい人からも手切れ金を貰ってしまう。
誰からも助けてはもらえない。
逆に身内であるはずの者から、借金返済の督促をされてしまう。
そして、まるで弱い者いじめのごとく、ゆすりにあってしまう。
世の中は、とても無情。
しかし、つた奴は、強く生きている。

つた奴の願いにより、つたの家を買い取ったお浜。
つた奴には、とても親切そうに見えるものの、
つたの家が儲からないと判断するやいなや、
小料理屋に改装することを考えている、したたかな女。

お春さんには、小料理屋の女将になるという選択肢もあった。
しかし、お春さんはそれを断ってしまった。
つた奴に世話になったためでもあろう。
けれど、それ以上に、
そんな生き方が、自分にはふさわしくないからと、
お春さんが考えたように、私には思えてならない。
お春さんが考える自分らしい生き方とは、どちらかと言えば、
つた奴に近く、お浜からは遥かに遠いからだ。
とても美しいと感じられる、この選択。
しかし、そんな生き方が損をする時代になってしまったのだろう。

三味線の練習をするつた奴。
ミシンの練習をする勝代。
それを見つめる、お春さん。
そして、お春さんだけが知っている。
こんな生活が明日にでも壊れてしまうという事実を。
お春さんは、いったいどのような気持ちで、
彼女たちを見ていたのだろうか?

それでも、きっと彼女たちは、皆、
力強く生きてゆくのではないのだろうか?
この世界では通じないかもしれない矜持と自立の志を持って。

美しい生き方が通じなくなってしまった今の世の中。
彼女たちの行く末がとても不安になってしまう。
だからそこだろう、彼女たちの生き方はとても美しく感じられてしまう。
そして、幸せな未来を期待せずにはいられない。
彼女たちの儚さが印象的な映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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