許されざる者  
2011.03.31.Thu / 22:02 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




許すことが出来ない者
その者たち全てが
許されざる者


自分のナニを笑われた事。
顔を傷つけられた事。
それを馬で無かった事にしようとした事。
法を犯そうとした事。
そして、友を無惨に殺された事。

憎しみの連鎖は止まらない。
誰かが、どこかで相手を許せば、
この連鎖は止まっただろう。
憎しみのその先にある哀しみに
思いがいたれば止められたかもしれない。
けれど憎しみに心を奪われてしまった人々は、
自らの愚かな行為を止める事が出来ない。
正義も悪もない。そのような人全てが許されざる者なのだろう。
しかし簡単には人はその愚かしい行為をやめられない。
止めようとも考えない。考えもしない。
人の愚かしくも止められない、愚かな行為を描いた映画。





最初は、ちょっとした誤解から始まったのだろう。
しかし、憎しみが憎しみを呼び、
怒りに我を忘れ、誰もが残酷な行いを、
躊躇うことなく行ってしまう。
常日頃であれば、他人の顔に傷をつけるなど、
簡単には出来ない行為だ。
けれど、怒りに我を忘れれば簡単に行うことができてしまう。
カウボーイたちには、謝りたいと思う気持ちがあった。
そのために用意された、一等の馬。
けれど、娼婦たちは怒りの為に、
その謝罪を拒絶してしまった。
ここで、娼婦が許していれば、
その後の悲劇も起こらなかっただろう。


街を守るために悪人には情け容赦がない、保安官、リトル・ビル。
けれど、街を守るためならば、
そして、相手が悪を行おうとするのを止める為ならば、
何をしてもいいというわけではない。
しかし、悪人に対する残酷な仕打ちこそが、
平和を守ると信じるリトル・ビル。
この行き過ぎが悲劇を生むとは考えもせず、、、


娼婦の顔を切り刻んだカウボーイを殺す。
そのためにやってきた、三人の男たち、マニー、ネッド、そして、キッド。
そんな残酷な男を前にすれば、引き金を引くことは簡単な事。
そう思っていた三人。
けれど、引き金を引いてみて、そして殺してみて、
初めて分かる、命を奪うという行為の恐ろしさと空しさ。
途中で、この仕事から降りるネッド。
キッドは、自分の殺した男の死を実感し始める。空しさと共に。

途中でも良かった。
誰かが相手の行為を許していれば、
こんな悲劇にはならなかった。
誰かが、憎しみの先にある悲劇を想像できていれば、
こんな悲劇を止めることができただろう。
けれど、怒りに我を忘れれば、人は簡単に愚かになってしまう。
憎しみに心を奪われれば、簡単には人は人を許せない。


この映画の舞台は、アメリカの片田舎。
しかし、この映画は普遍的な真理を描いており、
それは、どこの世界でも成り立つことなのだろう。


マニーを更正させた、妻のクラウディア。
しかし妻の母は、この行為を最後まで理解できなかった。
なぜ、クラウディアがマニーと結婚したのか。
そして、なぜ、短い生涯とはいえ、途中で別れることなく、
最後まで添い遂げたのか。

クラウディアは、きっと、マニーの罪を赦したのだろう。
そして、マニーを人生の最後に訪れたであろう悲劇から救ったのだろう。
けれど、クラウディアの行為は、マニー以外の誰からも理解されない。
彼女の母が理解できなかったように。
憎しみを止め、罪を赦し、悲劇を防ぐ。
これは、とても難しく、理解さえできない行為なのだろう。
けれど、マニーは、それにより、救われたのだ。
今後、キッドが殺人をやめ、自分自身を救うであろうように。

人の愚かしくも止められない、愚かな行為を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.872 / タイトル や行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!
久々の更新ですね(^_^)

この映画で、マニーは救われたんでしたっけ?
ラストは友人の復讐で終わったと思ってましたが。

全体的に憎しみの連鎖、暴力の連鎖を描いていて、
他の勧善懲悪の西部劇とは一線を画すものでした。
皆が愚かで許されざる者でしたね。

2011.04.01.Fri / 17:18 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

大震災の後ですと、
なかなかに更新する気が起きなかったのですが、
まあ、いつまでも引きずってるわけにはいきませんしね。

マニーは、友人の復讐をして、
子供たちとともに姿をけしたけれど、うわさでは
その後、手に入れたお金で商売を始め成功したらしい、
で映画は結ばれています。

たぶん、妻になってくれたクラウディアに出会わなかったのならば、
彼は人殺しの人生を歩み、悲惨な死に方をしていたと思います。
この映画では”許されざる者”ばかりが登場しますが、
唯一、登場しなかったクラウディアだけが、許される者なのかも
しれません。

それじゃ、また。

2011.04.02.Sat / 21:18 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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