ソラニン  
2011.04.21.Thu / 22:27 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




さよなら
未来の自分に
そして
今のすべてに


人生を選択すると、
何かを捨てなければならない。
自分の未来、多くの可能性、将来の夢。
何かを捨てずに人生の選択は出来ない。

選択せずに今に留まる事も出来るかもしれない。
けれど、このまま同じ事を続けて良いのか?
選ばなければ未来は見えてはこない。
見えてはこないから、見えない未来に不安になる。

自分に自身を持てなかった女性。
しかし、死んだ恋人の力を借りて、
最後には、さよならを言うことが出来た。
その姿は、とても美しくて力強く感じられる。
そんな彼女が魅せてくれた強さと美しさが印象的な映画。


出演するだけで、映画の価値が2倍にも3倍にも跳ね上がる、
と個人的には感じている、
宮崎あおいさんの魅力満載の映画。




うまくやっていけるか分からない。
自分の将来に自身が持てなかった芽衣子。

やりたくない事を我慢して日々を過ごす。
そんな生活に不安と不満を感じて前に進めなかった種田。
おままごとのような二人の同棲生活。
将来の展望も未来の夢も見えてはこない。
なぜなら、彼らは今に留まっているから。
「理想を全部僕に押し付けてプレッシャーかけないでよ。」
「あんまし、私に自分を重ねないでよね。」
そんな不安と自分に対する不満を相手にぶつけあう二人。

年功序列の社会だから、乗り遅れれば挽回は難しい。
才能と情熱だけで食べていけるほど、この世界は甘くはない。
大人になれば、単調で同じことが繰り返される退屈な毎日が待っている。
そして、人生の全てが掛かっている選択を、今しなければならない、、、

実際に、それが本当の事かどうかはわからない。
けれど、社会に出る前から、そんな価値観をすり込まれれば、
人生の選択に不安と切迫感を感じずにはいられない。

デモCDを送っても反応は無し。
そろそろ、違う人生を決めなければならないのかもしれない。
そんな不安と、選択すべき人生に対する不満とに負けて、
種田は命を落としてしまう。


ソラニンは、さよならの歌。
恋人たちが別れる歌ではなく、昨日の自分にさよならを言う歌。
そんなことが判ってきた芽衣子は、
種田の想いを理解したかったのだろう。
ソラニンを歌うことを決める。


ステージで、ソラニンを歌う芽衣子。
その姿に、昔の思い出がかぶさってくる。
芽衣子は、きっと、あの頃の自分に、
ソラニンを歌いながら、さよならを言っていたのだろう。
人生を選ぶことができなかった自分。
自分に自信が持てなかった、あの頃の自分。
種田に頼り切っていた、幼かった自分。
そして、種田と一緒にいて、心の底から幸せだった自分に。
「きっと演奏はメチャクチャだったけど、間違えずに歌えたよ。」
芽衣子は、間違えずに、さよならを言えたのだろう。

今の芽衣子ならば、種田とも、うまく付き合えたかもしれない。
あの時、仕事を続けていれば、今とは違った未来が待っていたのかもしれない。
バックバンドの仕事を断らなければ、幸せになれたのかもしれない。
しかし、それは考えても仕方のないこと。
そんな、もし、や、たら、とも、さようなら、なのだろう。

幸せな時を過ごしていても、心の底に不安があった。
将来に眼を背けた偽りの幸せだと、芽衣子には感じられていたからだ。
しかし、今見ている風景が明日には見られなくなっても、今はもう怖くはない。
それは、さよならを言えた強さを身につけたからなのだろう。

乱暴な解釈かもしれないが、
死の直前、人生の選択を先伸ばしにした種田にとっては、
実は選択後の人生も、今の生き方も、
同じように、ゆるい幸せがダラッと続く人生だったのだろう。
なんの反応も無かったデモCD。
種田は自身の才能の行き詰まりに不安を感じて苦しかったのだろう。
しかし、不満や不安ばかりの人生であっても、
生きていれば楽しいと感じられる一瞬が訪れる事がある。
それを心から楽しいと感じる事ができるのは、個人の強さに依存するのだ。
そんなことがソラニンを歌った芽衣子には、わかってきたのだろう。

映画の最初では、たどたどしかった芽衣子。
しかし、ステージで歌い終わった彼女の姿は、
とても美しくて力強く感じられる。

芽衣子が魅せてくれた強さと美しさが印象的な映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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