2011.07.07.Thu / 15:10 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






とても自己中心的で自意識過剰な姉。
都合の悪いことは、すべて他人のせいにし、
常に自分が正しいと強固に相手に主張する。

それでも、最初から、
こんなに極端な性格ではなかったのだろう。
兄や両親の優柔不断な愛情。
妹の冷徹な観察眼に基づく変質的な愛。
それらが、
彼女をここまでにしてしまったのではないのだろうか。

確かに姉の性格は異様に見える。
けれど、よく見ると、実は姉は比較的正常に近く、
回りこそが異様に見えてくる、不思議さ。

何も刺激が無い、閉じた田舎の世界に鬱積する、
異様を育てる愛情を描いた映画。




女優を目指し上京した姉、澄伽。
自意識過剰で自己中心的な女性であり、
うまくいかなければ、すべては周りのせいにする、
とても身勝手な女性。
けれど、彼女の真っ直ぐな想いは、気持ち良くもあり、
一緒に生活するのは遠慮したいが、憎めない印象を持つ女性でもある。
一番の被害者に見えた妹の清深。
けれど、したたかに姉を観察している女の子。
姉に女優の才能が無いことも十分、分かっている。
そして、異様に見える姉が、実は単純な思考の持ち主であり、
その行動パターンまでをも把握している。
そして、姉は妹にとって作品の題材として描くには、
とても魅力的な存在でもある。

妹は姉を作品として描き、姉の性格は壊れていった。
妹は、その姉の姿を観察して、
さらに自身の作品の質を高めていく。
二人は、いわば共生関係にあるように思われる。



すべてを一身に背負おうとし、背負いきれず死んでしまった兄、宍道。
所詮、人間には限界がある。
それでも、男とは不器用で生真面目な面を持っている。
特に、この兄はそうなのだろう。
自分が甘やかせば甘やかすほどに、
受け入れれば受け入れるほどに、
姉の性格は壊れていく。
壊れれば壊れるほどに、姉はますます兄を必要とする。
そして、兄にとっては重荷になる。



何も知らない、わかっていないようで、
実は全てを感ずいているように感じられた、兄嫁、待子。
姉と同じ男を好きなこと。
夫が自分を抱かない理由。
実は、それらを全て感ずいていたのではないのだろうか?
けれど、黙って耐えている、受け入れている。
だから、勘違いされる。悩みなんて無いと。
けれど、彼女にも悩みはある。辛さも苦しみも。
それでも、今まで生きてきた生き方を変えられない。



この映画の題名は、
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
であり、腑抜けども、とは、きっと、
澄伽を除いた和合家のすべての人間のことだろう。
そして、悲しみの愛とは、
澄伽を、そして和合家を壊していく愛のことなのだろう。

何も刺激が無い、閉じた田舎の世界に鬱積する、
異様を育てる愛情を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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