U・ボート  
2011.07.14.Thu / 22:21 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。







限界を超えた環境をひたすら耐える乗組員たち。
退屈で怠惰な毎日。
狭い艦内での異臭、生活苦。
広大な大西洋に、12隻しかいない仲間。
無能な上司の無謀な命令。
装備も位置も圧倒的に有利な敵。
水圧の恐怖、窒息死の恐怖。

人間の限界を超えた過酷な環境にも、
生き残るために堪え、団結する乗組員たち。
しかし、彼らを最後に待っていた、非情な運命。

戦場での、潜水艦という乗り物の非人間性。
その非人間性が、まさに体感できる映画。




第二次大戦下、イギリスを孤立させる為、
北大西洋の補給路を断つ任務につく、U・ボートの乗組員たち。
しかし、その任務は過酷で、人間の耐えうる限界を超えている。
広大な北大西洋の海は、毎日荒れ狂い、しかし、変化が乏しい風景。
昼も夜も区別がつかない艦内。
質素な食事だけが唯一の娯楽。
そんな退屈で怠惰な毎日が繰り返される。

多くの人間が密閉された狭い艦内で寝起きをするのだから、
どんなに気をつけていても毛じらみが発生する。
そして、ベットは共有しなければならない。
繊細な人間ならば耐えることは出来ない、とても不衛生な環境。

たとえ敵を見つけたとしても、遠くであれば、攻撃は間に合わない。
敵を見つけた、けれど攻撃できない、、、
そんな、いらいらが募る毎日。

近くに敵がいたとしても、輸送船を護衛するのは、
潜水艦の天敵である駆逐艦。
発見されれば最後、敵の攻撃が止むまで、
ひたすら耐えることしか許されない。
上手く輸送船への攻撃が成功しても、
駆逐艦がそのまま逃がしてはくれない。
攻撃されるがままに、じっと耐えて凌ぐしか手が無い。

ジブラルタル海峡を抜けろ。
それは不可能にも近い無謀な命令。
けれど拒否は許されない。
死ぬかもしれないとわかっていても。

それでも陽気な乗組員たち。
けれど、艦長には、それが虚勢であることも十分に分かっている。


乗組員たちの悲惨な環境が、画面いっぱいから伝わってくる。
映画を見ている間、まさに潜水艦に乗り込んだ感覚に襲われる。
圧迫感、息苦しさ、絶望、恐怖。
彼らの苦難が実感をもって感じられる。
まさに、この映画は体感できる映画なのだ。


イタリアに無事に生還を果たした乗組員たち。
けれど、彼らを待っていた非情なる結末。
このような結末になる事は、戦争であれば、当然の事なのかもしれない。
けれど、生還したいと誰よりも強く願った彼ら。
生き残るために、時に心が折れそうになりながらも、
限りなく少ない希望を信じて、諦めることなく挑み、
死力を尽くし、仲間と団結し、生還を果たした彼ら。
艦長ならずとも、
「俺はいい部下を持った、幸せものだ。」
と思わずにはいられない。
けれど、その願いと必死の努力さえ、あざ笑う戦争というものの非情さ。
その非情さが、強く心に刻まれる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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