戦場にかける橋  
2011.07.28.Thu / 23:03 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






ジャングルであっても法律や国際協定は守らねばならない。
自分の人生に、なにか意味のあるものを残したい。
軍律なんか、どうでもいい。ただ、生還して、人間らしく平和に暮らしたい。
人を殺すのは罪であるという感覚。

様々な男たちが抱えた人間らしい願い、感情。
しかし、戦争という破壊行為が、
それらの飲み込み、破壊し、彼らを狂わせる。
そして訪れる、虚しいラスト。

戦争は破壊行為。
それは、橋だけではない。
人の心をも破壊し狂わせてしまう。
そんな戦争の狂気が印象に残る映画。




強い信念を持つ大佐、ニコルスン。

文明人であるならば、法律や国際協定は、
いかなる場合でも守られるべきである。
その裏には、自らの権利の主張や、
作業におけるリーダーは誰であるかという駆け引きもあるのかもしれない。
しかし、それ以上に、自分の信念や生き方を主張しているように思われる。

秩序正しく生きる為には目標が必要だ。
それは、戦場では利敵行為なのかもしれない。
けれど、ニコルスンは自らの信念を通したのだろう。

長年軍隊に居たが自身の人生を振り返り、
そこに何か生きた証を残したい。

それらはすべて、平和な時であれば人間らしい願いであり、
人間らしい生き方なのだろう。
生きのびることだけを最優先に考える、シアーズ。
脱獄は不可能であり軍規にも背いている。
けれど、脱獄を強行するシアーズ。
それは、生き延びる為に。

最初はとても利己的に見えたシアーズではあったが、
任務の途中、足に怪我をしたウォーデン少佐を彼は見捨てなかった。
戦場では任務が最優先であり、
その為ならば味方であろうとも怪我をした人間は見捨てるのが常だ。
けれど、シアーズは、任務よりは目の前の男の命を優先させる。
自分の命だけではなく、
他人の命の尊さをも知っている男なのであろう。
そして、これも平和な時であれば人間らしい生き方なのだ。


考える力を失わせる仕事は嫌だ。
そんな理由で決死隊に志願したジョイス。
敵であろうとも命を奪うのは罪である。
だから目の前にいるのが敵といえども、躊躇してしまう。
これも平和な時であれば人間らしい感情だ。


ついに始まる橋爆破作戦。
水位が下がり、仕掛けられた爆弾に気づくニコルスン。
そして始まる、同胞同士の戦い。

命の大切さを知るはずのシアーズが、殺せと叫び、
ジョイスはためらうことなく、斉藤大佐を殺す。

過酷な環境にも耐え抜いたはずのニコルスン。
橋を守って自身の人生を意味のあるものにしたかったはずなのに、
最後の最後で「私は何の為に」と迷い、自らを失い、その果てに、
結果として橋を爆破してしまう。

任務の為ならば、仲間を見捨てると主張していたウォーデンは、
後味の悪さを残し、狂気に満ち溢れた戦場を去る。

戦争は破壊行為。
それは、橋だけではない。
人の心をも破壊し狂わせてしまう。
そんな戦争の狂気が印象に残る映画。




後は余談だが、
結局のところ、この映画に登場してくる斉藤大佐は、
いかに、ニコルスン大佐の意志の力が固いかを、
引き立てる役でしかないように感じられた。
任務の為に非情になった男よりは、
自らの信念に基づいて耐え抜いた男の方が、
強かったということであろう。
だから、日本人の描かれ方が変だ、とか、
日本兵と捕虜のイギリス兵が橋建設に向って力を合わせていく、
といった感想には個人的には違和感を憶えた。
(決して個人の感想を否定するわけではないが、、)
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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