脳内ニューヨーク  
2011.08.05.Fri / 18:57 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






迷い、さ迷い、
思案して、試してみて、
客観的に捕らえようとして、
理解できた、捕まえたと思っても、
するりと手から抜け落ちてしまう。
長い年を生きて老いれば、
わかったつもりになれるのかもしれない。

人によっては様々な解釈があるかもしれない。
私にとっては、
人生の真実の虚ろさが印象的な映画。




劇作家である、ケイデン。
既に夫婦仲は、破綻している男。
相手を好きだとか嫌いだとか、という以上に、
相手の存在に耐えられない。
もはや、賞味期限が過ぎて腐ってしまった、
そんな印象を彼ら夫婦からは感じてしまう。

妻と娘には去られてしまうものの、
巨大な賞金を手に入れたケイデンは、
きっと人生の真実を知りたかったのだろう。
壮大なプロジェクトに取り掛かる。
彼が語る人生についての言葉は、
ありきたりで、多分、言われれば誰もが納得する言葉だろう。
確かに、それらの言葉は分かってはいる。理解している。
けれど、不思議に失敗してしまう自身の人生。
そして、心に残るのは、
失った者に対する未練。
逃したチャンスに対する後悔。

それでも、方向性は見えてきた。


自身の人生を客観的に捕らえようとしても、
誰か他人に演じさせても、
虚しく時は過ぎてゆくだけ。
自分は運よく助けられた。
けれど、自殺してしまう代役。

それでも、方向性は見えてきた。


誰一人エキストラじゃない。
それぞれの人生の主役だ。
死に向かって生きているのだから、
今、この瞬間を生きよう。

そんなことは、この壮大な試みをする前から分かっていた。
けれど、17年以上の実験の末にたどり着いたのは、同じ結論。
ならば人生は単純なものなのか?
生きる前から分かっているものなのか?
けれど、もし人生が単純であるならば、
生きることに誰も苦しまず悩んだりはしないだろう。
そして、きっと、長い年月をかけたからこそ、
それらの言葉には意味も価値もあるのだろう。

それでも、方向性は見えてきた。


自分が演出しているはずだった自分の人生。
誰一人エキストラじゃない、それは分かっていた。
けれど、自分は自分の人生で特別な存在だと思っていたのも、
また、事実。なぜなら自分は演出家。
けれど、人生の幕引きは、自分の代役に演出され、
死を迎えたケイデン。


何度も方向性は見えてきた。
捕まえたと思っていた。
けれど、それはすぐに失われる。
それでも、方向性は見えてきた。


この映画は、ヘイデンが早朝に見た
うたかたの夢のようにも思える。
もしくは、死の直前に自身の人生を振り返って見た夢の様でもある。

長い時を掛けて、
たどり着いたような、たどり着けなかったような、
夢や幻の様でいて、しかし、現実の出来事でもある、人生の真実。
そんな、人生の真実の虚ろさが印象的な映画。

そんな虚ろな世界を、
あがき、求めてさ迷い、
悩み、苦しみながら生きるのが人生なのかもしれない。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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『マルコヴィッチの穴』、『エターナル・サンシャイン』でおなじみの脚本家チャーリー・カウフマンが、初めてメガホンを取った映画『脳内ニューヨーク』。 天才脚本家、天才監督にあらずというところでしょうか…。 アイデアはいいと思うんですが…。 <STORY> ?...
2011.08.20.Sat .No448 / Viva La Vida! <ライターCheese の映画やもろもろ> / PAGE TOP△

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