蜂蜜  
2011.08.13.Sat / 22:24 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






幼い少年が大人への一歩を記す瞬間。
けれど、悲劇は、その一歩に必要不可欠な要素なのか?
その悲劇無くしては、
その一歩を踏み出すことは出来ないのだろうか?

大きな自然の中に描かれる少年の細やかな心情。
けれど、その心情は大人たちには届かない。
そして、少年には理解出来ない大人の事情。
そんな子供の世界を細やかに描いた映画。




大自然に囲まれた田舎。
そこに暮らす家族。
都会に暮らす人には羨ましい自然なのかもしれないが、
そこには大自然特有の厳しさがある。

緊張すると、どもってしまう少年、ユスフ。
勉強も苦手で友達も少ない、
父親が大好きで内気な男の子。
お母さんに無理矢理飲まされる牛乳。
しかし、それを代わりに飲んでくれるのはお父さん。
ユスフは、そんなお父さんが大好きだ。

お父さんとする秘密の小声での会話。
それが示しているのは二人が特別な関係であるということ。
少なくともユスフは、そう思っている。
そして、それは、多分お父さんが理解している以上にユスフにとっては重要な事。

お父さんが他人の息子にプレゼントをあげた。
それがとても気になる。
それは嫉妬の感情なのだろうが、大人は誰もその気持ちに気付かない。
お父さんが用意している帆船の模型。
それを毎日確認しているユスフ。
それは果たして自分への贈り物?
お父さんはそんなユスフの気持ちに気付いたのか?


子供の頃に感じた様々な感情が詰まった映画。
遠い異国の地の出来事のはずなのに、親近感を持って感じられる。
食卓の灯りを消す。大人にとっては、それは単なる子供の悪戯。
しかしユスフには寂しさを表現した行為。
身を守る為に隣の友達のノートを奪い、しかし後になって激しく感じる後悔。
お父さんが倒れた時に見とれた鹿の美しさ。
それらは、誰もがかつては経験したことがある感情なのではないのだろうか?

大人の世界でなにが起こっているかは、知らないし、理解できないであろうユスフ。
けれど、お父さんを失ったことを感じ、ユスフは大人への第一歩を歩む。

今まで飲めなかった牛乳を飲みほし、母親を真っ直ぐに見詰めるユスフの力強い眼差し。
失った言葉を取り戻そうと懸命に朗読に挑み、憧れのバッジを獲得する。
とても感動的なシーンではある。
けれど、一番気付いて欲しい母親は、なにも気付かない。
子供は、きっと大人の気付かない所で大人になっていくのだろう。
子供が大人になるには、もしかしたら、大人は不要、それ以上に、
邪魔な存在なのかもしれない、、、、、

獲得したバッチをお父さんに見せる為に、森に走ったユスフ。
森に抱かれるように眠るユスフは、
果たして、夢の中で父親に出会えたのだろうか?
一番にお父さんに見せたかったバッチを、見せる事が出来たのか?


幼い少年が大人への一歩を記す瞬間。
けれど、悲劇は、その一歩に必要不可欠な要素なのか?
その悲劇無くしては、その一歩を踏み出すことは出来ないのだろうか?
そんな事を感じてしまった映画。


* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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