ファイト・クラブ  
2011.09.29.Thu / 15:02 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






生きている実感をまったく感じていなかった男。
生きることを実感したいが為に通った自助グループ。
そして始めたファイト・クラブ。
激しい痛み、死への恐怖。
本物を実感することにより、
生きているという感覚を感じ始める。

憧れていた存在。
けれど、近づく努力をしなければ、
憧れは、何時までも遠い存在。
欲しい女も何時までも手には入らない。

自分自身が嫌悪する自身の醜い部分。
目を背けるのは簡単だ。
けれど、直視しなければ前には進めない。

長い精神的な旅路の果てに、
成りたい自分になることができた男を描いた映画。



映画で言わんとすることは、
なんとなくわかった気がしているものの、
なぜか、心に響かない。
ちょっと技巧に偏りすぎた映画だからだろうか?


エドワード・ノートンが素晴らしい。
サイコチックな役を上手に演じている。
この人で無ければ、この映画の主役は務まらなかっただろう。
そして、
ラストのヘレナ・ボナム=カーターさんの顔がとても素敵に見える。
とても多彩な女優さんだと感じた。
映画の冒頭、不眠症という問題を抱えていた主人公。
不眠症の理由は、物質社会に支配された主人公が、
理由も無く物を買い消費するだけで、
生きている実感を自らの人生で感じられていなかったから。
そして、一番大きい問題は不眠症ではなく、
彼が不眠症の原因について分かってはいないこと。
そして、心の奥では気づいているということなのだろう。

自助グループに通うことで、徐々に人生の実感を取り戻してゆく主人公。
死を目の前にした人々に囲まれ、彼らに感情移入すると、擬似的な死を体験できる。
黙っていると、回りも自分を、そのように扱ってくれる。
擬似的な体験が元とはいえ、自分の感情を他人にぶつけられる快感。
しかし、それを邪魔する存在が現れる。


主人公は、なぜ、マーラが嫌いなのか?それは、
彼女の存在が主人公に、主人公の実感は偽物であるという事実を、突きつけているから。
そして、周りをだまして得ている快感であるということを、自分に告げている存在だから。
こんな存在が目の前にいたのなら、自らの疑似体験が、
偽者であることを自覚せざるを得ない。
お互いを拒否する協定を結ぶ、主人公とマーラ。
しかし、本当は、二人は似たもの同士なのだろう。


主人公が描いていた理想を体現した男、タイラー。
理想が幻として見えたというよりは、
消費社会に支配された主人公が、その精神的危機を乗り越える為、
自己防衛的に創り出した存在と思えてならない。
今始めなければ、いつ始めるのか?
しかし、始める事が出来ない主人公に対して、
始める為の、そして、その後の道しるべとしての存在が必要だった。
自分が始めたことではないと認識すれば人はどんな事でもやり遂げてしまうのだろう。

人に殴られることで実感できる痛み。
その痛みこそは、自分に自分が生きているという事を教えてくれた。
しかし、暴走を始めるタイラー。

極端な思想と強烈な体験、そして、分かりやすい目的、
生活を共にする一体感と盲目的な服従心を植え付ける事。
これらは、新興宗教が大きくなる鍵なのかもしれない。

行きすぎた思想の果てに、遂に他者に危害を加えようとしたタイラー。
けれど、主人公は、それが行きすぎている事を認識し始める。
タイラーを止めようとする行為が、逆にタイラーを克服することに繋がって行く。

最後にはタイラーを克服した主人公。
自身が理想としたタイラーを取り込み、
さらにそれを自身の中で昇華させたのだろう。
そして、他人のイメージに捕らわれず、人に責任を負わすのではなく、
自分がやりたい事を自分で決めて、やりぬく事。
ラストの主人公からは、そんな男の自信に満ちあふれた様子が感じられる。
そして、自分と似ているマーラをも受け入れる。

長い精神的な旅路の果てに、
成りたい自分になることができた男を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.919 / タイトル は行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!
とうとうこの作品をご覧になりましたね。
でも、あまり心に響かなかったとは残念・・・
描き方が、確かにシンプルでは無かったですね。
あの強烈な世界観が好きなんだけど(^^;

私にとってカッコよく見えるのはブラピですが、
ノートンはさすがの演技派で、病める主人公が
変化していく様子を、上手く演じてましたね!

ああいう、一人の男の精神世界を映像化したのも
衝撃があって面白かったし、
最後に、なりたい自分になれた結末も良かったです。

2011.10.01.Sat / 12:51 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

やっと見ることができました。
確かに強烈な世界観。
ですが、私だけかもしれませんが、
主人公に感情移入できず、だから心に響いてこなかったかも、、、
しかも、盛り沢山。
新興宗教から社会批判、精神的な自立と、てんこ盛り。
ラストのビル崩壊のシーンも素晴らしかった。
確かに衝撃的な作品でした。

ブラビは、カッコ良かったですね。
ちょっといっちゃってる役がとても似合っていて、
それでもカッコよく演じられるのは、流石です。

それじゃ、また。


2011.10.01.Sat / 17:51 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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