さんかく  
2011.10.13.Thu / 22:05 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






この映画のポスターや題名から受ける印象とは裏腹に、
見終わった後に受けるのは、心に重く響く痛さ。

年の離れた妹との短い同居生活。
そんな特殊な設定であるにもかかわらず、彼らの会話は、
実生活のどこかで見たことや感じたことがあるという、既視感。

男女の、良くあるのかもしれない愛憎。しかし、
直視に絶えられないような、
凄まじくも恥ずかしい、そしてとても重たい映画。



自分の狭い世界で生きてきたであろう女性、佳代。
だから情がとても深い。そして盲目的である。
昔からの友人だからマルチ商法を薦めて来る人でも信じてしまう。
惚れた男だから、どんなにダメな男でも一途に尽くしてしまう。

30代にもなるのに、今だに高校生の頃の先輩風を吹かす、百瀬。
自分では自分の事をかっこいいはずだと信じ、
しかし、心の底では、それを信じ切れていない男。
とても利己的な妹、桃。
先輩に振られたとはいえ、
似たような雰囲気をもつ、姉の恋人に色香を使う。
どうすれば男が自分になびくかを知ってはいるが、
その先に、どんな悲劇があるかを考えない。
むしろ自分の寂しさを紛らわすために、
積極的に目をつぶってしまったようにすら感じられる。


妹との短い同居生活。
桃に魅かれた百瀬。そんな微妙な雰囲気を察知した佳代。
だから、百瀬は佳代と別れようとする。

一途だから、とてもウザく感じてしまう佳代の愛情。
若い色香に簡単に惑わされる百瀬。それが勘違いであるとは微塵にも思わない。
傍から見ていれば、彼らがとても愚かしく感じられる。
けれど、当事者にはどうにもならないこと。
そして、それがとても良く分かる。

最後には、
自分の愚かさを思い知った百瀬。
真相を知ってしまった佳代。
自分がしてしまった事の顛末を知ってしまった桃。

ハッピーエンドにいくように思われて、
けれど簡単には、そうならない。
対峙する三人。けれど結末は語られない。
まさに、さんかく、で幕を下ろす。

百瀬は佳代を選ぶために現れたようにも見える。
昨日、自分のダメさ振りを思い知ったからだ。
けれど、ラストでは、まだ揺れて迷っているようにも見える。
ダメさ加減は、まだ直っていないというところなのか?

それに引き換え、ラストの佳代は笑っている。
彼女からは、すべてを受け入れる強さを身に付けたようにすら感じられる。
そして目の前に居る男が如何に小さな男かをも、
感じることができるようになったようにも思われる。
それは、佳代が捕らわれていた恋の呪縛から解放された瞬間なのかもしれない。

男女の、良くあるのかもしれない愛憎。しかし、
直視に絶えられないような、
凄まじくも恥ずかい、そしてとても重たい映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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