パーマネント野ばら  
2011.11.03.Thu / 22:30 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。

この映画を未見の人は、映画を見てから下記を読んでください。
ネタバレ満載なので。
お願いします。



どんな恋でもないよりましやき


例え、どのような相手であっても、
恋する人がいないよりは、いた方がまし。
それが例え、
暴力をふるう男でも、
浮気をする男でも、
ギャンブルにのめり込む男でも、
幻影であったとしても。
誰もが人恋しい。自身の一番幸せだった時に戻りたい。
だから恋をする。
それは誰にも止められない。止まらない。

恋を止められなかった女性。
それは、たとえ相手が死んでいるとわかっていても。
一見すると、とても哀しい映画。
けれど彼女は、それでも幸せなのかもしれない。
なぜなら、どんな恋でもないよりましなのだから。




離婚して出戻ってきた女性、なおこ。
しかし、それでも彼女が幸せに見えるのは恋人の存在。
けれど、この恋人は彼女の幻想。
どんな恋でもないよりまし。
それが例え、暴力男、浮気男、浪費男であっても。
夜中の二時で次の店がろくでもないとわかっていても次の店を目指してしまう。
なぜなら人は人恋しい生き物だから。
人を恋すると言う事が、なにも無い生活を、よりドラマチックなものにする。
それが例え幻であったとしても。

人は二度死ぬ。人に忘れ去られたら、今度こそ、本当に死ぬ。
だからこそ、恋して忘れなければ、その人にとっては死人ではない。

自分が一番輝いていた時に記憶が帰ってしまった、みっちゃんのお父さん。
それは、なおこにも当てはまる。
彼女も一番幸せだった頃を忘れられないでいるのだろう。

けれど、あんた、大人だろ。
幻であるカシマに、そう諭される。
実は、なおこはカシマがすでに死んでいる事を知っている。
このままではいけないと思う自分と、
このまま幸せに浸りたいと思う自分。
そんな葛藤に悩んでいる。
諭しているのはカシマではなく、自分で、そう感じているのだろう。

そんな、なおこに皆の目は温かい。
幻想を見ていても、それを理解し、
一人の人間の生き方として認め、
心配しながらも信じて、暖かく見守っている。
それは、他人を肯定するというだけでなく、
自己を肯定するという枠すらを超えて、
人の弱さを肯定し、逆に生き抜く強さに変えているような、
そんな印象を感じてしまう。


「私がいるから大丈夫やろ?」
しかし、それでも、なおこには娘がいる。
時にワガママで理解できない存在であり、心配の種ではあるものの、
生きる活力を与えてくれる存在。
きっと、なおこが母親に言ったように、
娘も同じ事をなおこに言うだろう。
「私がいるから大丈夫やろ?」


恋する気持ちを止められなかった、なおこ。
娘の想いが届き幻影を忘れることができたのか、
それとも、幸せな思い出に浸り続けるのか?
そのどちらでもなく、上手にバランスを取って生きて欲しい。
本当に恋する男性が目の前に現れるまで。
そう、感じてしまったラストシーン。

一見すると、とても哀しい映画。
けれど彼女は、それでも幸せなのかもしれない。
なぜなら、どんな恋でもないよりましなのだから。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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西原理恵子の名作コミックを、菅野美穂主演で映画化した『パーマネント野ばら』。 高知県の港町に生きる女性たちの、おかしくも悲しく、でも力強い生命力に驚かされる一作です。 何と言っても、出て来るおばちゃんたちが強い強い! きっついパンチパーマをあてて(...
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