バビロンの陽光  
2011.11.07.Mon / 22:37 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






戦争で行方不明になった父親。
父親を探してさ迷う祖母と孫。

旅の途中で巡りあった人々は、二人に対しとても優しい。
二人がか弱い存在だからではない。
二人の心の痛みを実は自身の中にも抱えているからだ。
祖母と孫はなにも特別な存在ではない。
画面に写しだされた多くの人々。
彼らもまた、行方が分からない大切な人を探してさ迷っている。
しかし、彼らの大多数はきっと大切な人を見つけることが出来ないだろう。
そんな圧倒的な絶望。
静かに哀しい映画。
けれど、彼らは明日も生きてゆくだろう。力強く。



戦争で行方不明となった父親を探す、アーメッドとその祖母。

旅でめぐりあった人々。
最初に車に乗せてくれた、おじさん。
タバコ売りの少年。
親身に世話をしてくれたムサ。
集団墓地で哀しみを分かち合った女性。

彼らは皆、生き延びるだけで精一杯のはずなのに、
アーメッドと祖母に優しい。
彼らの境遇がかわいそうだからとか、
彼女たちだけでは心配だから、というだけの理由ではない。

彼らは、二人の心の痛みと同じ痛みを自身の中にも抱えている。
大切な人を失った悲しみ。
何とかして探し出したいという淡い望み。
強制されて行った残虐行為の悲惨な結果。

祖母と孫はなにも特別な存在ではない。
画面に写しだされた多くの人々。
この国では、すべての人々が同じ哀しみを抱えている。
だからお互いがお互いを助け合うことができるのだ。

最初は、ムサを拒絶していた祖母。
それでも、ムサは二人を見捨てなかった。
多分、図らずも自身が犯してしまった罪を、
この二人を助けることで償いたいという想いも持っていたのだろう。
そして、最後にはムサの想いは祖母に届く。
祖母は理解したのだろう。
この惨事が強制されて引き起こされたことであり、
ムサ個人が悪いわけではないことを。

哀しみを乗り越えて、ムサを赦した祖母。
実は哀しみを重ねれば重ねるほどに、
人は優しくなれるのかもしれない。


最後に訪れた集団墓地。
身元も判別できない遺体の山。
この中から息子を見つけ出すのは、ほぼ不可能。
そんな絶望が、祖母の命を奪ったのだろう。

死に際に息子の名前を呼ぶ祖母。
アーメッドの姿に息子を見出したのだろう。

失われてしまった息子が、実は100万人にものぼるという事実。
そんな圧倒的な絶望。
静かに哀しい映画。
けれど、彼らは明日も生きてゆくだろう。力強く。
そんな強さも同時に感じることができた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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