未来を生きる君たちへ  
2011.11.10.Thu / 22:43 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






復讐と言う名の暴力。
それでは何も解決はしない。
されど、抗い難いその誘惑。
しかし復讐は悲しみしか生み出さない。
そんな事がこの映画のテーマなのかもしれない。

けれど私がこの映画から強く感じたのは、
この世界は理想を貫くには難しく、
人は愚かな生き物で、
望むと望まざるとに関わらず、
間違いを犯してしまう生き物であると言う事。
間違いを犯し、激しく後悔して、
昔のように戻らないかと強く切望してしまう。


犯罪を犯してしまった少年二人。
強い後悔を経て、しかし新しい出発をする事ができた。
間違いを犯してもやり直す事はできる。
若い二人ならばなおさらだろう。
そして、悲惨な経験であったとしても、
彼らは多くを学んだはずだ。
それは大人たちが手を差し伸べ支えたからでもあろう。

理想を貫くには難しい世界。
けれど、こんな少年たちがいれば未来は明るい。
彼らは、失敗しても、保証がなくとも、
諦めずに挑んでいくだろう。
ラストでは笑いあう二人。
静かな希望が心に残る映画。

そして、少年たちに、このような笑顔をもたらす事が、
「未来を生きる君たちへ」の大人の務めなのだろう。
アフリカで医療に従事しているアントン。
しかし彼の治療をあざ笑うかのごとく、
力を誇示するために、住民の命を弄ぶビックマン。

夫に浮気をされて心に傷を持つマリアン。
夫を赦したくても赦すことができない女性。

母親に死なれて、その悲しみの行き場がなく、
父親に辛く当たる少年、クリスチャン。


相手を暴力で屈服させ排除してしまうこと。
怒りに任せて拳を振りかざすこと。
哀しみを紛らわすために相手を拒絶し、辛くあたること。

それらは簡単に実行できてしまう。
そして、あたかも何かが解決したかのように見えてしまう。
一時的にとはいえ、気分も晴れる。
だから、その誘惑には抗いがたい。

けれど、暴力は結局のところ何も生まれない。
そんなことは誰もが知っている、分かっている。
けれど、人は望むと望まざるとにかかわらず、過ちを犯してしまう。


ビックマンの悪態に我慢ができず、彼を放り出したアントン。
母親に死なれて、その悲しみを紛らわすために暴力を奮うクリスチャン。
友情のために、クリスチャンを止められないエリアス。

彼らに暴力は無意味だ、と諭すことは簡単だ。
特にアントンは、すでにそんなことは十二分に承知している。
映画では詳細には描かれてはいないものの、
ソフスとエリアスの喧嘩に対する学校側の対応には表面的なものを感じるし、
クリスチャンの父親に「だから戦争が始まるんだ」と諭されても、
人の生き方を変えるだけの力を持っていないように感じられる。



ついに車を爆破してしまったクリスチャンとエリアス。
けれど、ジョギングしていた母と娘を助けるために、
エリアスは大怪我をしてしまう。

本当は父親が苦しんでいることを知っているクリスチャン。
けれど自身の悲しみ、淋しさをもてあまし、父親に素直にはなれないでいた。
しかし、アントンから教えてもらった、死者と生者とのあいだにある幕。
そう考えることで、やっと自身の痛みを和らげることができたのだろう。


理想を貫くには難しい世界。だから、人は時に過ちを犯してしまう。
けれど、そんな経験から多くを学ぶことができる、実感を持ってして。
そんな経験はとても強いはずだ。
きっと、この難しい世界でも、諦めずに挑んでゆくだろう。

ラストでは笑いあう二人。
静かな希望が心に残る映画。

* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.934 / タイトル ま行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!

大人でも理想を貫くのは難しいのだから、
子供にとってはなおさらですよね。
世の中には理不尽な事が多過ぎます。

例えば話し合いの通じない相手の執拗ないじめを、
非暴力でもってやられっぱなしで
解決できるのかという問題には、
正しい答が出せなかったりするんですよね・・・

でも少年達のように、若いうちにいろいろな経験をして、
その中で学んで前進していけるといいですよね。
こういう少年達がたくさんいれば、より良い未来になるでしょうね。

2012.03.28.Wed / 17:07 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

何回かトライしましたが、
昨日は、なぜかトラックバックできませんでした。
今日は簡単にできました。不思議です。


話し合いの通じない相手、根っからの悪党、
なかなか理性的に生きるのは難しいですが、
彼らなら、きっとより良い未来を生きてゆくでことしょう。
いまさらながらに思いますが、
やはり同じ経験をした友人の存在、というものが頼もしく感じられ、
それが良かったからかもしれません。

それじゃ、また。

2012.03.28.Wed / 20:38 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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赦しか復讐かで揺れる大人と子供。 暴力の連鎖をどう断ち切るのか? 観る者に問いかけるヒューマン・ドラマ。 2010年度アカデミー賞外国語映画賞受賞。 HAEVNEN IN A BETTER WORLD 憎しみ...
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