つむじ風食堂の夜  
2011.11.14.Mon / 12:52 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






懐かしい様な、寂しい様な。
暖かい様な、冷たい様な。
現実的でいて、ありえなさそうな、
とても不思議な映画。

この映画はきっと、
距離の上手な取り方を描いた映画のように感じられる。
少なくとも私にはそう思える。
他人と自分。
過去と現在。
夢と現実。
死者と生者。
そしてココと果て。

どちらか片方にばかり気を取られていると、
自分が消えてなくなってしまう。
若い頃ならばそれはありなのかもしれない。
果てを夢見る事が許されるのは若者の特権なのだから。
けれど大人になったのならば、
バランス良く生きなければならないのだろう。
自分の人生をより豊かなものにするために。
それが大人の生き方なのだろう。

大人に向けたファンタジー映画。




馴染めるかどうかわからなかった。
けれど、つむじ風食堂を訪れた、先生。
手品師を父親に持ち、雨降りの研究をしている物書き。
3500円ならば安いものだ。
万歩計、いや、二重空間移動装置を使えば、
こことは違う場所に移動できる。そう思える。
そうして、先生の心の旅は始まった。

300万円もする、唐辛子の本。
それを欲しい先生。しかし、そんな大金は払う事が出来ない。
相手が欲しい本、しかし、買えない本を売りにだしている事。
それがお互いの関係を悪化すると危惧した古本屋の店主。
200円で他人に売るという解決方法は、とても不思議だか、
これで、先生と古本屋の店主との関係は良好に保たれた。


若い頃は、自らの夢、人生の意義を感じていた。思う事が出来た。
けれど、今は、そんなことを忘れ、どうでも良くなってしまった。
それは悲しい事なのか、大人になるということなのか?
今の自分と過去の自分。
現実を生きる自分と夢に生きる自分。
本当は、両方が必要なのかもしれない。


亡くなった父親は小説を書こうとしていた。
一体どんな小説だったのか?
閉店になろうとしていた喫茶店、タブラ。
しかし、皆の後押しで残す事が出来た。
けれど、壊れてしまった、エスプレッソ・メーカー。
しかし、自分の味で勝負することにした、息子。
「苦い、美味い。」
あの時とセリフは変わらない。
受け継がれるもの、新しく創造するもの。
喫茶店タブラは、そんなバランスの上で成り立っている空間なのだろう。


ココと果て。
果てを夢見ると途方もない果てに飲み込まれ、自分が失われる。
様々な事を考えて、心ここにあらず。
それは途方もない果てを考えているからなのだろう。
頭だけがココを離れて果てを旅している。
そんな自分は果たして、今、どこにいるのか?
自分はココにいる。
そう思うことで、果てを意識していても、
バランスを取ることが出来る。


主演を夢見る舞台女優の奈々津さん。
奈々津さんに脚本を書いてもらう事を依頼された先生。
果たして何を書いていいのやら。
途方にくれてしまう先生。

頼んだのはいいけれど、難しい依頼をしたばかりに、
先生は自分を避けているのでは?
そんな疑念が奈々津さんの頭にはよぎったのだろう。
脚本よりは先生との関係を大切にしたい。
そう思って一度は断ろうとした。

けれど二人で話をしているうちに心が軽くなった先生。
完成されたものだけを夢見れば途方にくれてしまう。
けれど出発点を見定めれば、心も軽くなる。
二人で始めることを思えば、心も軽くなる。


様々な事にバランスを上手取り生いきてゆく。
そうすると人生が実りある豊かなものになってゆく。
大人に向けたファンタジー映画。

* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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