パブリック・エネミーズ  
2011.11.17.Thu / 13:00 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






ストーリーとしては山場がなく、
デリンジャーの人となりも、十分に描かれているわけでもない。
ジョニー・デップのかっこよさ。
マリオン・コティヤールの美しさ。
そこだけが目立つ映画のようにも感じられてしまうが、
しかし、私が一番、この映画から感じたものは、
社会の意志で抹殺される個の悲哀だ。

目立つ故に仲間のギャングに邪魔にされ追放される。
FBIは、組織強化、予算獲得、そして功名のために、
執拗にデリンジャーを追いかける。
最後には逃げ場所を失うデリンジャー、そして命を落とす。
それは自業自得なのかもしれない。
けれど、彼が死んだのは彼が犯罪者だけだからではない。
正義とは別な目的で彼は社会から排除されたのだ。

時代の流れに抗い続けた不器用な男。
そんな男が社会の悪意に抹殺される悲哀を描いた映画。



銀行強盗を生業とする男、デリンジャー。
仲間は裏切らず、見捨てず、
一般人からはお金を取らない、銀行を専門に狙う男。
そして愛した女を一途に思い込む。
そんな彼独特の美意識に自らの人生を捧げた男。

この映画のストーリーは、デリンジャーが脱獄をして、
銀行を襲い、逃亡し、捕まり、また、脱獄を繰り返すというもの。
確かにアクション満載ではあるが、どうも盛り上がりが感じられない。
デリンジャーという人物がなぜ、このような犯罪を繰り返すのか。
そして、なぜ、ビリーを深く愛するのか?
その辺りの描き方も、とてもサラッとしている印象を持ってしまう。
だからこそなのかもしれないが、
ジョニー・デップはとてもかっこよく、
マリオン・コティヤールは素晴らしく美しく見える。


FBIによって、パブリック・エネミーと呼ばれたデリンジャー。
彼を取り締まるための、新しい法律。仕組み。
けれど、それらは、
目立たぬように組織を拡充してきた犯罪シンジゲートにとっては、
非常に厄介な仕組み。
犯罪組織は、最後にはデリンジャーを見放してしまう。


新設されたばかりのFBI。
FBIの存在意義を示すには、
デリンジャーのように有名で州をまたいで犯罪をする者が必要であり、
逆に彼を早期に捕まえる必要もある。
だからこそ、初代長官に就任したフーバーはパーヴィスに圧力を掛ける。
早く、デリンジャーを捕まえろ、と。
そんな圧力が非情な尋問、違法な捜査、無謀な襲撃をパーヴィスに強いる。
しかし、それは正義のためだけではない。
FBIが予算を獲得し、組織を強化し、フーバー自身が名声を得る。
その為も含まれているのだろう。
そして、本当は、このような捜査など、したくはないと、
パーヴィスは考えているように思える。
彼もまた、昔の捜査を信条とし、新しい非情な捜査には馴染めず、
しかし、組織の中では自由が利かず、
それ故に自殺してしまった男、のように感じてならない。


深く愛し合っていた、デリンジャーとビリー。
どこまでも、共に生きると誓い、しかし、それは、儚くもかなわぬ夢と終わる。
犯罪者とはいえ、そんな夢さえも許さない社会。
時代の流れに抗い続けた不器用な男。
そんな男が社会の悪意に抹殺される悲哀を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.938 / タイトル は行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!

デリンジャーもシンジケートも最終的に同じ穴のむじなだと思うけど、
デリンジャーには独自の美学があって、
シンジケートには時代の流れに沿ったやり方があったんですね。
不器用ゆえに はじかれてしまったのは、
勢いのある時はカッコ良かったけど、追い詰められた時は哀れでした。

それでも最後は自分で納得して潔く散ったようで、
私には男らしく見えましたよ。
ジョニーだから、何をやっても良く見えたのかもしれない(^▽^;)

2011.11.19.Sat / 14:51 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんにちは。

ただ、この映画で描かれたデリンジャーは、
犯罪者だからだけではなく、
目立ってしまったから、追い詰められた。
生き方を変えられなかったから殺された。
そんな側面もあった気がします。
多分、もっと悪い奴らは賢く裏で設けてるんでしょうね。

生き方を変えるべきか、それとも、死ぬか。
そんな選択の中で、彼は死を選んだんですね。
逃げるという選択肢は、彼の美学になかったんですね。
それは確かに男らしい生き方です。
でも残された者は、、、ってのも気になります。


それじゃ、また。

2011.11.20.Sun / 11:11 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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