いずれの森か青き海  
2012.01.19.Thu / 22:35 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






素直に受け入れることができない、沢山の事。
他の人からの善意。
事故で死んでしまった母に送られる花。
そして、故郷の事。

それらを受け入れるには彼女は、とても幼くて、
知らないことが多すぎるのだろう。
自分の事、他人の事。そして都会と故郷の事。


大人になるということは、
多くの大切な事を忘れるということでもある。
しかし、忘れることを意識することは、
その対象の大切さを認識することに繋がるのだろう。

忘れたくはない、けれど忘れてしまう。
それを意識した時に、故郷の大切さをも
受け入れることができるのだろう。
しかし、それでも、忘れることを前提で、
人生を決めて生きていかなければならない。
それが大人になるということかもしれない。

そんな大人への一歩を歩み始めた女の子を描いた映画。


劇的な話のはずなのに淡々と進むストーリー。
それが、この映画の持ち味なのであろう。
イメージ先行で描かれる画面は、美しい。
けれど、もう少し整理して描けば、よかったとも思える。
母親が死に父親は遠い東京で暮らしている。
兄の様な叔父と暮らす少女、アオイ。

皆が彼女に親切にする。
けれど、アオイにとっては、それはお節介。
自分が蒔いた種で周りに迷惑を掛けてしまっても、
どうしようもない。何もできない。
だから拒否してしまう。余計なお節介だと。

映画の冒頭では、アオイという少女が、
とても厭な女の子に見えてしまう。
けれど、それには訳がある。

多分、アオイは母親を殺した人を知っている。
しかし、知らないふりをして嘘を黙認している。
けれど、花は受け取らない。
叔父の事は、好きなのだろう。
だから、二人は、とても中途半端な関係であり、
周りの親切にも素直にはなれない。
そして、嘘をついてしまう。
故郷を、叔父を好きなのだけれど、
拒否して離れて暮らしたい。
そう、考えているのだろう。


遠い異国からペンフレンドがやってきた。
自然が美しい街だと嘘をついていたアオイ。
その嘘がばれてもなお、アオイの事に興味を示すペンフレンド。
嘘をついて裏切ったはずなのに、、、
しかし、ペンフレンドは自然溢れる街を見たかったのではない。
純粋にアオイの事、暮らしている場所、好きな事などを知りたかったのだろう。
そんな気持ちがアオイに自らの事に目を向けさせるきっかけになる。
自分が何も知らないで暮らしてきた事に気付かせるきっかけになる。


母親の顔も、ペンフレンドの事も、故郷の事も、
いつかは忘れて思い出せなくなる日が来る。
悲しい事に、それを防ぐ方法はない。
だから、この瞬間瞬間を大切にしなければならない。
けれど、それと同時に忘れる事を恐れずに前に進まなければならない。
東京の街で暮らす事を決めたアオイは、
そんな事を悟ったのだろう。
そんな大人への一歩を歩み始めた女の子を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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