月に囚われた男  
2012.01.26.Thu / 22:45 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






この映画を未見の人は、映画を見てから下記を読んでください。
ネタバレ満載なので。
お願いします。





たとえ、どんなに過酷な勤務であったとしても、
期限が切られており、帰れる我が家があるからこそ、
人は耐えることができる。

しかし、それが裏切られたのだとしたら、
どうなのだろうか。

暖かい家族の元に帰る日を夢見続けた男。
その男が味わう悲哀が哀しい映画。

しかし、そんな男にも手を差し伸べる存在が居る。
彼の気持ちを十分理解することができる存在が。
そんな存在が嬉しい映画。




人類全体の為に、その生活を支えるべく、
エネルギー資源を月から地球に送り続ける男、サム。
一人孤独に耐える生活も、あと二週間。
二週間後には愛する家族の元に戻る事が出来る。
しかし、それらは、すべて虚。
実は自分がクローンであったとか、
企業の収益の為に採用された案だとか、
それらは、すでに使い古された設定かもしれない。
けれど見せ方がとても上手で、
映画の冒頭は思わず、そんな展開に引き込まれる。

会社から裏切られてしまったサム。
彼が焦がれた家族、そこに電話をすると、
愛する妻は死んでいて、
あんなに会いたかった娘は、本物の父親と暮らしている。
それを知った時にサムが味わった絶望は、いかばかりであろうか。
彼の悲しい叫びには、心がとても痛む。

赴任期間の三年とは、きっと、クローンの寿命の事だろう。
もしかしたら、この事実がバレないようにする為に、
遺伝子の中に、強制的に寿命を設定させられているのかもしれない。
ともあれ、企業の最大の目的は利益追求。
だから厄介になれば、彼らはお払い箱なのだ。


不測の事態に、
目覚めるべきで無い時に目覚めてしまった、もう一人のサム。

最初はいがみ合っていた、けれど、
同じ記憶、同じ感情を持っている二人。
妻への愛情、馴れ初め。その時の気持ち、、、、
彼らが家族の想いを語り合う姿が痛々しくも嬉しく感じられる。

三年間孤独に耐えたのだから、君には戻る権利がある。
けれど寿命で帰れない体になってしまったサム。
だから、同じ想いを持つ、もう一人のサムに自らの想いを託す。
もう一人のサムの出発を見送るサムの満足げな笑顔。
それが、切なくて、哀しくて、しかし、嬉しい。


最後まで二人をサポートした、コンピュータのガーティ。
会社の利益に反して、ガーティがサムをサポートしたのは、
そのようにプログラムがなされていたから。
しかし、それ以上に感じたことは、
サムとガーティがともに同じ環境に置かれた仕事仲間として共感し、
その悲しみを分かち合えたからではないだろうか。

「俺たちはプログラムじゃない。」
サムがガーティに最後に言った台詞には、
ガーティの事も含まれているような気がしてならない。
このセリフを言われて何も答えず、背中を向けるガーティ。
その背中の張り紙、「Kick Me」を取り外すサム。
そんなサムの行動に感謝だけではなく、
共感した者同士の想いも感じられる。

この映画のラストのオチは蛇足のように思えるが、
この映画のテーマが、企業の利益追求と働く者への尊厳、
ということが良く解るオチ。
けれど、この映画はそれ以上のメッセージを持っているようにも
感じられる。



暖かい家族の元に帰る日を夢見た男。
その男が味わう悲哀が哀しい映画。
しかし、それを心から理解できる者たちのいたわりと共感。
そんな存在が嬉しい映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.958 / タイトル た行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!
月に囚われた男のサム・ロックウェルが、
一人二役で、切ない良い演技をしてましたね!
サムの絶望、もう一人のサムとの妙な友情、
ガーティとの共感、
ちょっぴり嬉しくて、哀しくなる、
様々な表情を見せていて、胸が痛くなりました。

人間より、よほどクローンやロボットのほうが
温かい心を持ってましたね。
小作品ながら、良い映画でした。

2012.02.01.Wed / 16:08 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

低予算のためなのかも知れませんが、
一人二役っていうのも、素晴らしいアイデアだし、
そのアイデアを生かしたサムの演技も良いですね。
それと、声だけの出演のケヴィン・スペイシーも、
見事な雰囲気をかもし出していました。
(声だけ出演も、やはり予算のせいか?)

一応、韓国の企業ということらしいですが、
どこの国でも企業は利益優先ということで、
同じ境遇や立場に立たないと、
共感できるのは難しいんでしょうね。

それじゃ、また、

2012.02.02.Thu / 22:52 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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