ザ・ロード   
2012.02.16.Thu / 20:48 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






ゆっくりと、しかし確実に滅びに向かっている世界。
その荒野をさ迷う父と息子。

父親にとって、息子は世界の全て。そして希望。
彼は息子の為だけに生きている。
だから、息子には善き心を持つように教えても、
自らは汚いことに手を染める。
それも息子に生き残って欲しいが為に。
それは、とても哀しい矛盾。
けれど、その矛盾が息子の心に善き心を育てる。

最後に一人残されてしまった息子。
しかし、最後には新しい希望に出会う。
父親と一緒であれば決して出会えなかった希望に。

絶対に守りたい者を持つ者は、
果たして、強い者なのか。
それとも、弱い者なのか。

父親の純粋な愛情。
しかしそこにある矛盾がとても哀しい映画。




明確な理由も描かれず、しかし、荒廃してしまった世界。
そこはまさに、弱肉強食。
人が人を食料として狩る、恐ろしくも末期的な世界。
そんな荒野を歩く二人の親子。
父は息子に人として生きる事を教える。
善き者であれ。内なる心の火を失うな。
そして、人は食べてはいけない。
食べられそうになったら、死を選べ。
父親は自分たちの生き方を否定した最愛の妻さえ、
息子の為に忘れようとする。

父親が一身に息子に注いだ愛情故に、
息子は、内なる心の火を失うことはなく、成長する事が出来た。
それは、紛れもない事実だろう。


父親は息子を守る為には非情の覚悟を決めている。
人食い集団の一員に見つかれば、そいつを殺す。
老人も、追いかけられている母と子供も、
人食い集団に捕まった可哀そうな人々も見捨てる。
盗人からは身ぐるみ奪う。
襲われれば相手に反撃し、結果として殺してしまう。
どんな他人も自分たちに仇なす者と決めつけ避ける。
それは弱いからではない。保身の為でもない。
それは、ただ、ひたすらに息子を守る為。

父親が、己のすべてを掛けて息子を守り抜いた結果、
息子は、内なる心の火を失うことはなく、成長する事が出来た。
それは、紛れもない事実だろう。


父親は息子に善き人になるように教え、
しかし、自らは汚いことに手を染める。
それは、普通ならば子供たちが嫌う矛盾。
しかし、父親の必死の愛情故に、息子はまっすぐに育つことができたのだろう。


荒野をひたすら南に向かって歩く親子。
その先に希望があることを信じて。
けれど、希望にたどり着く前に死んでしまう父親。

しかし、新しい希望はすぐ後ろにあったのだ。
それは、多分父親が健在であれば、たどり着くことはできなかった希望なのだろう。


絶対に守りたい者を持つ者は、
果たして、強い者なのか。
それとも、弱い者なのか。
守りたいが故に心を冷たく強くあろうとした父親。
守りたいが故に心を閉ざし他人を拒否した父親。
しかし、誰も、この父親を否定することはできはしない。

父親の純粋な愛情。
しかしそこにある矛盾がとても哀しい映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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