2012.03.01.Thu / 20:24 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






なぜ、彼らは殺されなければならなかったのか?
同じ志を持つ同志だったはずなのに、
なぜ、仲間が仲間を殺してしまったのか?

革命の限界。
組織としての限界。
追い詰められた人間の狂気。
彼らを追い詰めすぎた社会。
そして、彼ら自身の弱さ。短絡さ。

勇気を持てば避けられたのか?
勇気があれば手段に軌道修正をかけることができたのか?


人の弱さ故に、のめりこんでしまう狂気が印象的な映画。





この映画は3つの部分から成り立っている。
最初は、連合赤軍結成までを当時発生した事件を背景に描き、
次に、描かれたのは、仲間が仲間を殺害した、総括と称されたリンチ。
最後に、あさま山荘事件を描いている
学生運動が盛んに行われ、そこに何万人もの人間が参加していた時代。
デモやバリケードで社会を変えられると信じられてきた時代。
けれど、政府や警察は、それらを容赦なく取り締まり、
多くの者が捕まり、あるいは、脱落、逃亡し、
組織を維持することも、ままなら無くなってしまった。
そんな、彼らにとってはとても厳しい情勢を背景に誕生した、連合赤軍。

目には目を、暴力には暴力を。
思想は過激にエスカレートし、殲滅戦を、その手段に選んでしまった彼ら。

脱落者の発生は、組織としての死を意味する。
脱落者は粛清し、
現存するメンバーには、脱落しないよう個々人を鍛え上げる。
そして始まった総括。しかし、それは、
つるし上げやリンチへとエスカレートしていく。

殺らなければ自分が殺られる。
だから誰も異をとなえる事ができない。
誰も自分たちの行いを止めることができない。
それが蛮行で愚行だとは理解しながらも。

総括に、個人の嫉妬や恨みを持ち出し、
すでに総括は反省の場ではなくなってきている。
次は誰が裏切り脱落するのか、
そんな疑心暗鬼に捕らわれるリーダーたち。
組織を維持する為、
そして、自らの地位を守る為には、いけにえが必要なのだ。
彼らは明らかに人の上に立つ器を持ってはいない。
けれど、結成時のリーダー達は逮捕され、彼ら以外に人はいない。

隔離された組織。外部の価値観を拒絶した組織。
自分たちの行いを正すのは自分たちしかできない。
しかし、確固とした権力構造。
幹部たちには思想的にも言論的にも逆らえない。
逆らったら自身の思想や、
いままでの自身の活動をも否定することに繋がってしまう。

彼らの活動の先には、本当に彼らの目指す未来はあったのか?
たった、29人で革命を、戦争を起こそうとした彼ら。
次第に追い詰められ逮捕されてゆく仲間たち。
彼らが採った手段や方法を見直す必要があったのではないのだろうか?
しかし、長くて苦しく地道な方法よりは、
短絡的で破壊的な方法を採ってしまった彼ら。
暗くて困難で絶望的な未来に目を背けた結果なのだろう。


自分たちが採ってきた手段の過ちを認める勇気。
行ってきたことの無意味さを認める勇気。
そして、初心に戻る勇気。
自分たちのしてきたことをやり直す勇気。
そんな勇気が彼らには欠けていたのかもしれない。


「みんな勇気がなかったんだ! あんたも、あんたも!」
この台詞が、本当に、あの場で発せられたのかは信じがたい。
どちらかといえば、映画の製作者たちが意図的に付加した台詞のように思える。
けれど、この映画の様々な事象を包括する台詞としては
相応しいように感じられた。


人の弱さ故に、のめりこんでしまう狂気が印象的な映画。

けれど、もし私が、あの時代、あの場所にいたならば、
いったい、なにができただろうか。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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