サマリア  
2012.04.12.Thu / 20:20 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






愛している人と一緒にいても、
相手が見ている世界が自分のものとは違うということを知れば、
相手との距離は埋められない。
だから孤独と不安は消すことができない。
そして、途方にくれてしまう。
間違ったであろう選択をしてしまう。

相手を強く愛し、自身の中に取り戻したいと願って行った行為。
しかし、それは思わぬ結果を生んでしまう。
その行為は、想いが強ければ強いほど、行き過ぎてしまう。
それらは果たして許されるのだろうか?

深い愛故に道を失う人々。
そんな人々の行為が痛々しい映画。



売春をしている少女、チェヨン。
彼女の友達で売春を手助けしているヨジン。

なぜ、彼女たちは売春をするのか?
表向きはヨーロッパ旅行の費用の為。
けれど、本当は違うのだろう。
私生活が一切描かれない、チェヨン。
きっと私生活では孤独を抱えているチェヨンは、
他人との絆を求めて売春に走ったのだろう。
体を重ねるだけではなく、共に生活をしている、という感覚を得たかった。
だから相手の職業を聞き、恋人のように振る舞う。
そんなチェヨンを止めようとするヨジン。
ヨジンは、チェヨンに対して友達以上の好意を寄せていたように思えてならない。
だから、チェヨンが知らない世界で楽しんでいる事に対して、
嫉妬してしまうのだろう。

「あなたがいないと何もできないの。」
もしかしたら、チェヨンは売春という秘密の行為を通じて、
ヨジンとの絆を深めたかったのかもしれない。
そして、それはチェヨンにとってはとても大切な事。
邪魔されるくらいなら、笑いながら死を選ぶこともいとわない。
それほどに大切なことだったのだろう。



チェヨンを失って一人になってしまったヨジン。
最初は、チェヨンを清める為の行為だった。
けれど、チェヨンの経験を追体験することで、
ヨジンは自分の中のチェヨンを取り戻そうとしたのだろう。



警察官であるヨジンの父親、ヨンギ。
偶然、ヨジンの売春を見かけ、しかし、ヨジンに問いただす事が出来ないでいる。
今まではヨジンの全てを理解していると信じていた。
けれど、それは違っていた。娘は自分の知らない顔を持っていたのだ。
それがとても怖くて不安だ。だから、正面から切り出せない。

ヨンギがヨジンの売春を影から止めようとした行為と、
ヨジンがチェヨンに売春を止めるように諭した行為とは、似ている。
どちらも自分の愛している人が知らない世界で生きているのが不安だったから。
そしてヨンギが男たちに向ける憎しみも、
ヨジンがチェヨンを抱いた男たちに向ける嫌悪も似ている。
それは、自分の好きな人を自分の知らない世界に引き込む存在に対する嫌悪なのだろう。



本当は共に死んでしまいたかった。
だから、ヨンギは母親の墓参りにヨジンを連れてきたのだろう。
しかし、車が石に邪魔されて進めなくなった時、
簡単に諦めたヨンギと地道に石を取り除いたヨジン。
ヨンギは、この時、ヨジンの中に生きる力と意思を見出したのだろう。

車の運転は人生を生きることに似ている。
なかなか思うようにハンドルを切る事が出来ない。
そして簡単に道を外れる。
うまく走れず、目標についていけず、見失ってしまう。
どんなに追いつきたいと願っていても、、、、
それでも娘が生きる事を選択したヨンギ。
きっと、いつか自分においつくであろうことを願ったのだろう。



相手を強く愛し、自身の中に取り戻したいと願って行った行為。
しかし、それは思わぬ結果を生んでしまう。
今の関係を守る為に窓から身を投げ死んでしまったチェヨン。
チェヨンの体験を追体験し、父親に売春がばれたヨジン。
ヨジンを守り取り戻すため、売春相手を手に掛けてしまったヨンギ。

愛故とはいえ、間違ってしまった行為。
望まない結果を生み出してしまった、その行為。
その行為は、想いが強ければ強いほど、行き過ぎてしまう。
それらは果たして許されるのだろうか?

深い愛故に道を失う人々。
そんな人々の行為が痛々しい映画。



* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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