1978年、冬。  
2012.04.26.Thu / 20:37 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






ここではない、どこか他の場所に憧れる青年。
唯一の身寄りを失った少女。
その少女に憧れ、しかし、裏切られたと感じた少年。
そんな三人を取り囲む閉塞感溢れる重苦しい社会。

少ない台詞。
しかし、絵画のように美しく印象的な数々のシーン。
そんなシーンの美しさが印象的な映画。






中国の田舎、「西幹道」に住むファントウ。
生まれた場所を嫌い、都会に憧れている青年。

ファントウの弟であるスーピン。
漫画を描くことが好きだが、いじめられっ子な男の子。

「西幹道」に都会から引っ越してきた、シュエン。
二胡を弾き、病弱な父親の為に働く少女。


ラジオから流れてくる、ここではない場所からの音楽。
いつも使うフォークとナイフ。それは都会への憧れ。
都会から来た少女、初めて目にする、彼女の優雅な踊り。

自分には無いもの、都会という未知な世界に憧れる。
けれど、それをどう彼女に示せば良いのか分からない。
自身の将来も決められない。自分の気持ちも整理できない。
そんな苛立ちは誰にも理解されない。
だから本能のままに行動してしまう、ファントウ。
最初はストーカーであり泥棒ですらあった。
弟にも八つ当たりしてしまった。
しかし、徐々に彼女のことを知り、
彼女の為に自分ができることを手探りで見つけてゆく。



ファントウは、嫌悪の対象でしかなかった。
しかし、事件をきっかけに彼の本心を知るシュエン。
ファントウは、自分が思っていたのとは真逆な心を持っていたのだ。
そして、父を安心させるためについた嘘。
ファントウは、その想いを届ける手伝いをもしてくれる。

唯一の身寄りである父が死んでしまった。
この世界で身寄りといえばファントウだけだったのだろう。
けれど、この展開には正直驚かされる。



シュエンに憧れの気持ちを抱いていた。
しかし、シュエンは兄に魅かれててゆく。
それはスーピンにとっては裏切りにも似た行為。
けれど、成すすべなく二人を見つめるしかなかった。

兄が不良だという理由で、ますます酷くなるいじめ。
それが兄への憎しみを増幅させる。シュエンも無視してしまう。
けれど、本当は大切な存在であった兄を失った時、
スーピンは兄への本当の想いを取り戻せたのだろう。
シュエンが織り込んだハートに込められた想いとともに。


そんな三人を取り囲む中国の田舎の社会。
文化大革命が前年終結したといはいえ、
その影響が大きかったのだろう。とても閉塞感に溢れている。
都会から越してきた少女を見る排他的な目。
愛する二人を影から非難する陰湿的な雰囲気。
未来の可能性が閉ざされたような冷たくも殺伐とした風景。

泥棒よりも男女交際の方が噂になりやすい辺り、
なにか、その当時の閉塞感を、さらに印象的にしている。



絵画のように美しく印象的な数々のシーン。
しかし、少ないセリフ。
ファントウは弟にすまないと思い軍隊に志願したのだろう。
そして、ヒーローになって弟へのいじめを減らしたかったのだろう。
けれど、その想いは別な形で叶えられる事になってしまった。
兄の想いについても説明不足で残念な気がする。

しかし、少ない台詞とはいえ、絵画のように美しく印象的な数々のシーン。
そんなシーンの美しさが印象的な映画。


* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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