運動靴と赤い金魚  
2012.05.17.Thu / 10:07 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






大人に取っては些細な事でも、
子供に取っては人生の一大事。
広い様で、とても狭くて小さな子供たちの世界。
しかし、想いの強さは大人にも決して負けてはいない。
そして、大人に負けないほどの優しい瞳を持っている。

昔は私たちも持っていたのかもしれない。
そんな懐かしい世界を描いた映画。


陳腐な言葉がよく似合う映画は良い映画だと思う。
なぜなら、言葉が持つ表現力以上に、
その意味の大切さを伝えることができているからだ。
物を大切にしなさい。兄弟は仲良く。
他人には憎しみよりも優しさを。物の豊かさよりは心の豊かさを。
それらは良く使われる、とても陳腐な言葉なのかもしれない。
説教に使われても、説得力はないだろう。
しかし、これらの言葉が実感を持って、この映画からは感じられる。
それ故に、この映画は、良い映画なのではないかと感じる。




貧しいイランの家に住む、アリとザーラ。
病気の母親のために家事を手伝い、
貧しい家計を心配する心優しき兄妹。
お使いで頼まれた靴の修理。
けれど、靴をなくしてしまったアリ。
父親に叱られる、けれど、それ以上に心配なのは、
家には靴を買うお金すらないという事。
生活に余裕のない親に余計な心配事を抱えさせたくはない。
その日以降、親に秘密を抱えることになった兄妹。

なんとか自分たちで解決したい。
けれど、それはとても難しい願い。

無くした靴を見つけたが、その靴を履いていたのは、やはり貧しい女の子。
その子から靴を取り戻すことを諦めた兄妹。
その優しさに、いじらしさ、そして逆に誇らしさをも感じさせてくれる。

逆に、その女の子がザーラに落し物を届けてくれた。
そして、その女の子はザーラの靴を捨ててしまった。
ザーラには受け入れがたい事実ではあるが、この女の子は何も知らない。
複雑な想いを胸に閉じ込め、相手のことを受け入れるザーラ。
これは子供というよりは、大人に近い優しさだろう。


父親のお手伝いをするアリ。
きっと靴の事も頭をよぎったのだろう。
口下手な父親を助けて仕事のお願いをする、アリ。
なんとか仕事を貰えた。報酬も得た。
お金を得たら広い家に。夢を楽しそうに語る父親。
しかし人生はなかなかに上手くいかない。

マラソン大会で3等になれば靴が貰える。
涙を流して先生に参加させてもらった。
そして妹の為に、家族の為に、根性の走りを見せるアリ。
三等というのは、とても微妙で難しい順位。
案の定、三位には成れなかったアリ。
あんなに頑張って走ったのに、、、、
そんなアリを慰め癒すがごとくアリの足に集まる金魚。

大人から見れば、そんな大きな事ではなかったのかもしれない。
けれど、子供たちには親には話せない人生の一大事。
これが解決しない限り生活はできない、前には進めない、それほどに大きな壁なのだ。
しかし、このような子供の頃の感情は、
誰にでも覚えがあるのではないのだろうか。
あの頃は一大事だと思っていたが大人になれば些細な出来事だったという思い出を。

昔は私たちも持っていたのかもしれない。
そんな懐かしい世界を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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