ゲルマニウムの夜  
2012.05.24.Thu / 10:18 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






神の存在を求めてさ迷った男。
神の声を聴こうとし、その声に耳を傾け、
神から罰せられることを願い、罪を重ねる。
しかし、世界はなにも変わらない。
だから、迷う、苛立つ、そして、さらなる挑発をする。

赦しとは罪に苦しむ者にこそ癒しになる。
だから、罪を自覚し苦しむ良心を持たない者には、無益な教え。

それでも、求め続ける男。
求める行為が彼を神に最も近い存在にしているのだろう。

そしてたどり着いた結論。
匂いに善悪はない。
それは、彼自身が善と悪とを考え始めた第一歩なのだろう。
善と悪を神に委ね裁かれるのを待つのではなく。

宗教に対する姿勢、人は神に何を求めるのか。
宗教について考えさせられる映画。


新井浩文さんが素晴らしい。
すごい役者だとは思っていたが、この映画では役にはまり、
独特の存在感を示している。
彼の独特で存在感十分な雰囲気を堪能できる映画。




教会の教護院で育ち、人を殺して、戻ってきた男、朧。
神を求めては、
ラジオの声に耳を傾け、
罪を犯しては罰せられるのを待っている男。
けれど、いくら罪を重ねても神は朧を罰しない。
世界は何も変わらない。
教護院には様々な人がいる。
そして、大なり小なりの罪を犯している。
少年たちに異様な奉仕を強要する院長。
朧に残飯運びを強制する先輩たち。
従わなければ暴力もいとわない隊長っぽい人。
けれど、世界は何も変わらない。
彼らは神から罰せられることはない。

しかし、朧と彼らの違いは、朧は自らの行いが悪であることを自覚し、
そして、神の裁きを待っている点であろう。
朧以外の人間は自身の行いに疑いをまったく持たない。
悪なのではないだろうかという認識すらない。
それ故に、戸川神父は、朧を神にもっとも近い、と言ったのだろう。


「ただ赦していればいいだなんて、あなたも神も気楽な稼業だな。」
罪を罪と自覚し、それに苦しむ良心を持たなければ、赦しは癒しにはならない。
だから、この時点の朧には神の声も戸川神父の想いも届くことはなかったのだろう。



「匂いに善悪はない。」
世間の常識で考えれば悪の行為と思われることも、
もしかしたら、善なのかもしれない。
もしかしたら、どちらでもないのかもしれない。
それは誰にもわからない。ただ、自身の良心だけが知っている。

神は人を罰しない、ただ、赦すだけ。
自分を罰するのは、自身の良心。
神は、ただ、人を良き道に導くためのみに、人を赦す。

朧は単に入り口に立っただけなのかもしれない。
けれど、自身で善悪を考え始めたのは、大きな一歩なのだろう。

宗教に対する姿勢、人は神に何を求めるのか。
宗教について考えさせられる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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