2012.06.14.Thu / 20:18 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。







アメリカ軍は捕虜を全て虐殺する。それは女子供でさえ。
日本は戦争に負け、国土は焼け野原。それは自分達を騙し降伏させる為の謀略。
だから我々は最後まで民間人を守り戦いぬく。
歴史を知る人々ならば、それが間違った選択である事を知っている。
けれど当事者である彼らには、
アメリカ軍の降伏勧告は、彼らの偽り。そして、信じたくはない現実。

下手をすれば、民間人を巻き込んで皆が玉砕していたかもしれない。
けれど、四十七人を率いて最後まで彼らの戦争を戦いぬいた男。
民間人から最低限の犠牲者しか出さす、
兵士からは最低限の脱落者しか出さなかったのは、
彼の思慮深い決断があったからであろう。

多くの命と人生を預かった重い責任。
最後までその責任を果たした男の思慮深さが印象的な映画。


鑑賞前までは戦術に長けた指揮官が知略により活躍する映画かと思っていた。
しかし、大庭大尉は、常識的な思考能力を持ってはいるが、
ただの平凡な男のように感じた。
けれど彼が戦争の価値観に捕われなかったことが、
この奇跡を産んだのだろう。





第二次世界大戦末期のサイパン島。
既にアメリカ軍に島の大部分を占領され、勝敗は時間の問題。
そして、最後のバンザイ特攻に生き残った大庭大尉。

最初は、敵兵を一人でも多く殺す事を使命と考えていた。
けれど爆撃された居留地の惨状を目の前にして、
大場大尉は、一人でも多くの命を救う事に使命を切り替える。
ここから大庭大尉の戦いが始まる。
アメリカ軍に捕まれば民間人といえども虐殺される。
歴史を知っていればそんな事はデタラメである事は知っている。
けれど、そのように教えこまれた彼ら。
そしてアメリカ軍は戦友や肉親を殺した憎い敵。
憎しみが彼らの目を曇らせる。

諦めることなく日本人達に降伏を勧めるアメリカ軍将校。
それを助ける収容所の人々。
皆が大庭大尉達を救いたい。
それは大庭大尉とて同じだ。
しかし、不慮の事故。相手に対する誤解、憎しみ。
思うように事は進まない。


収容所で安心して暮らしている人々。
サイパン島から出撃するB29の編隊。
それを見た時、きっと大場大尉はアメリカ軍が本当のことを言っていると、
確信したのだろう。
そしてアメリカ軍に投降するのが良いと考えたのだろう。しかし、
「殺されると判っているのに、民間人を収容所に送るのですか!」
皆を納得させるのは容易ではない。


玉砕を声高に叫ぶ兵士たち。
しかし、死のうとしても死にきれない。
死ぬのは怖い。それ以上に家族が恋しい。
大場大尉は兵士たちのそんな心情をも察したのだろう。

単にアメリカ軍に投降するのは簡単だ。
しかし、それでは今まで戦い抜いてきた兵士たちの誇りをも奪う結果となってしまう。
もしかしたら自殺してしまう者も出るかもしれない。
本当は故郷に帰りたいと考えているにもかかわらず、、、
戦争には負けた。けれど、彼ら兵士たちが悪いわけではない。
戦争の敗残者ではあっても人生の敗者にはなって欲しくはない。
降伏は上官からの命令という策をアメリカ軍に伝える大場大尉。

「私は諸君と一緒に戦えた事を心の底から誇りに思う。
 お前たちは十分に戦った。
 恥ずべきことは何ひとつ無い。
 胸を張って堂々と山を降りよう。」

そして、言葉通り堂々と行進して山を降りる日本兵たち。
大場大尉によって守られた彼らの誇りが明日の日本を切り開いていくのだろう。


この映画では、様々な思想を持った様々な人々が登場する。
日本を尊敬するアメリカ軍将校もいれば、
戦死した日本兵から形見の写真を奪っていく兵士もいる。
そして、アメリカを強く憎む日本の兵士、そして看護婦。
時間は掛かったが、それでも最後には平和を共に迎えることができた、彼ら。
まさに奇跡的な出来事なのだろう。

欲を言えば、大場大尉の心情をもう少し深く表現してもよかったのでは、
とも思える。けれど、この辺りのバランスはとても難しいとも思う。


殺し合いをしていた者同士。
しかし、最後には共に平和を迎えることができた。
お互いに対する敬意とともに。
多くの命と人生を背負い、その奇跡を成し遂げた、大場大尉。
最後までその責任を果たした男の思慮深さが印象的な映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.997 / タイトル た行 /  comments(0)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
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