アーティスト  
2012.06.14.Thu / 20:22 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




映画は自由


映画俳優という職業や、
エンターテインメントに関わる職業は、
人を楽しませるのが仕事。
人を楽しませる事が楽しくてしかたがない。
そんな人たちが成るのに相応しい職業なのだろう。

そこにはトーキーとかサイレントとかは基本的には関係ない。
映画は自由。
人を魅了する方法なんていくらでも存在する。

人を楽しませたい、楽しませることが楽しい。そんな性を持った男と女。
それ故に魅かれあい、恋に落ちる。
しかし、男は時代の流れについてゆけず、誇りを奪われたと勘違いしてしまう。

けれど、男が最後に立ち返った原点。
それは、この映画での最後で唯一の台詞。

映画への愛情が込められた映画。




サイレント映画の大スター、ジョージ・ヴァレンティン。
いつも陽気で気さく。
人を楽しませることが好きでたまらない根っからのエンターテイナー。

まだ駆け出しの女優志望の女性、ペピー・ミラー。
しかし、ジョージと似たような気質をもつ女性。
そんな二人が魅かれあうのは当然ではあるが、ジョージは妻子持ち。
魅かれあいながらもお互いを諦めるしかない状況。


映画の世界に新しい技術革新が起こった。それは、トーキー映画。
しかし、それを否定するジョージ。
今までやってきた事への自負と誇り。
自身の映画製作へのこだわり。
トーキー映画への無意識な恐れ。
それらが彼の目を曇らせてしまったのだろう。

当然ではあるが、
トーキー映画にはトーキー映画ならでは良さがあり、
サイレント映画にはサイレント映画の良さがある。
どちらが良いとか悪いとかは一概には言えない。
さらに言えば、映画は自由だ。
表現したい内容に合わせて、その表現を選ぶのは自由なはずだ。
トーキー映画とかサイレント映画などという括りにも意味はない。
この映画でも、音声を巧みに使用してジョージの悪夢を表現している。
さらにラストのBANGは、サイレント映画の利点を巧みに使っている。
要は観客を魅了するには、どのような方法が最適か、ということだろう。


失敗と挫折、そして破産。没落してゆくジョージ。
しかし、一方、成功への階段を昇るペピー。
けれど、ペピーはジョージのことが忘れられない。
それは、恋する人として。そして映画創りの尊敬できる大先輩として。

自分を助けてくれていたのはペピー。
全てを知ってしまったジョージ。
プライドは無残にも打ち砕かれて失意のうちに死を選ぶ。
けれど、その死を止めたのはペピー。

全てを失ったと錯覚し死のうとしたジョージ。
けれど、死ぬのは怖い。それは絶望と死の恐怖との、せめぎ合い。
そんな境地から生還できて実感したのは、自分は、まだ生きているということ。
全てを失ったというのは錯覚。命はまだある。
そして、自分を支えてくれたペピーも。

最後には、また、エンターテインメントの世界に戻ってきたジョージ。
タップを踊る、その姿は本当に楽しそう。
見事に決めたはずなのに、監督からの一言。もう一回。
それを本当に嬉しそうに、「My Presure」と返すジョージ。
ジョージは、エンターテイナーの原点に立ち還ることができたのだろう。


人を楽しませることができる映画という芸術。
映画への愛情が込められた映画。

* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.998 / タイトル あ行 /  comments(2)  /  trackbacks(2) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!
トーキー映画、サイレント映画の括りに意味はないと、
よく分かる作りになってましたね。
この映画は、サイレントに一味加えた工夫がされていました。
求められる楽しさを与えるために、
時代の流れもあって、変化は必要なんですが、
大切なのは、とにかく人を楽しませるという事なんですね。

「Perfect」と言ったのに、もう一度見たいがために
監督も思わず「もう一回」と言ってしまったんでしょうね。
それを『何度でも』と言わんばかりの嬉しそうなジョージの笑顔!
こちらも嬉しくなりましたね~☆

2012.11.01.Thu / 16:37 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

映画というのは色んな作り方があって、
楽しみ方も沢山あります。
一度は、その楽しみを忘れてしまった主人公が、
最後には、また、その楽しさを取り戻すことが出来ました。
そんな姿が、とても生き生きとして、見ているこちらも嬉しくなりました。
映画って、本当に楽しいもんなんだ、
そう、感じさせてくれた映画でした。

それじゃ、また。

2012.11.01.Thu / 21:12 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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