地獄の黙示録  
2012.06.21.Thu / 20:27 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






戦場とは矛盾と欺瞞に溢れた場所。
勝利の困難さを前にした時、大抵の男たちは、
職務を誠実に遂行することから目を背け、
矛盾と欺瞞に飲み込まれていく。

純粋故に、そして、優秀故に、
欺瞞と矛盾に抗い、
勝利の為に自らの道を極めようとした男。
しかし、絶望して死を選ぶ。
なぜなら戦場の欺瞞と矛盾は、人間の矛盾と欺瞞。

それを最後まで見届けた男。
見届ける者が現れたからこそ、
選ぶべき終わりにたどり着くことができたのだろう。

人は滅びるしかないのかもしれない。
そこまでに深い人の矛盾と欺瞞、混沌とした人の心。
人の心の深遠を描いた映画。




戦場とは矛盾と欺瞞に満ちた場所。
勝利の為には人を殺さなければならず、
人を殺せば殺すほどに英雄と呼ばれるようになる。
職権乱用が横行し真面目な人間ほど馬鹿を見る。
そして職権を乱用している人間は戦場では大きな顔ができ、
皆からも信頼され頼られる存在となる。
犠牲者が出るかもしれないと分かっているはずなのに規則に従い検問をし、
犠牲者が出してしまった後に、逆に生存者を救おうとする。

とりわけ、ベトナム戦争は、その意義も、終わりも見えない。
終着点が誰にも分からない空虚で絶望的な戦争。

兵士の安息の為に、アメリカ文化をカンボジアの山奥に持ち込み、
しかし、周りとの大きな差異に、多くの兵士が心の均衡を乱してゆく。


純粋に勝利を追い求めた軍人、カーツ。
勝利の為に最前線に留まり、自らの理想を実現し、
最後には、軍部に背いてまでも自らの王国を作り上げた男。

一見するとカーツは狂っているように感じられるが、
その思考は理路整然としている。
敵は非情なる硬い意思を持った軍団。
目的の為ならば幼子の手をためらうことなく切り落とすこともできる兵士たち。
そのような敵に対しては、こちらも非情で硬い意思を持つ必要がある。
倫理や道義心を捨てて冷徹な心を持つ必要が、、、
しかし、軍部はそれを認めない。
勝利よりは他国やマスコミからの批判が重要なのだ。
逆にカーツに殺人罪を適応しようとする軍部。それは、国と国との利権の為に。



人間らしさを捨てなければ真の兵士にはなれない。
けれど人々は適当なところで妥協する。
深く考えることを止めて、欺瞞と矛盾を受け入れる。
そうしなければ狂ってしまうからだ。
しかし、それでもその人の精神は徐々に蝕まれてゆく。

理想の王国を築いたはずだった。
戦場における勝利を貪欲に追及し、欺瞞と矛盾にも妥協はしなかった。
人間性を完全に捨てようとした。
しかし、心を闇に捕らわれてゆくカーツ。
それは当然の末路なのだろう。

ならば、戦争なんぞ、しなければいい。
しかし、戦争には人間を惹きつけてやまない何かがある。
破壊への衝動。攻撃時の高揚感。
人は戦争を止めることができない救いがたい生き物なのかもしれない。

最後にはウィラード大佐はカーツを殺害する。
そして爆弾がカーツの王国を焼き尽くす。
それはまるで、人類の行く末が破滅や滅亡しか無いことを暗示しているように見える。

心を闇と絶望に捕らわれたカーツ。
それでも希望を見つけたい。だから待っていた。
自分自身の全てを伝え、受け継がせるために。


カーツ殺害を命じられたウィラード。
しかし、カーツを知れば知るほどにカーツという人物に興味がわいてくる。
なぜなら、自分と同じ事を考え、同じ感情を抱いているからだ。
既に故郷と妻を捨てているウィラードには、
カーツのことを他人とは思えなかったのだろう。
そして、カーツの闇を引き継いだウィラード。

果たして彼には未来はあるのだろうか。



注)特別完全版では、ラストのカーツ王国への爆撃はカットされていました。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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